江東電気軌道(KDK)

Pacific Electric “Overton”


去る12/21、22に大宮ソニックシティで開催された、「さいたま鉄道模型フェスタ2019WINTER」を覗いてきました。某店で、ROUNDHOUSEの中古品が山積みになっていましたので、26′ Ore Carがないか探していると、こんなものが目に付きました。


Pacific Electricの、36′ Box Carと銘打たれています。Pacific Electricに類型車が実在したかどうかは不明ですが、塗装して組み立て、編成中に紛れ込ませてしまえば大丈夫でしょう。床板はダイカスト、台車はアーチバーでした。類型の36′ reeferの組立記事の通り、床板のバリ取りには苦労しそうです。


こちらは34′ Passenger Car。仰々しく名乗っていますが、要は様々なロードネームで売られていた”Overton”客車の一党です。こちらは先ず、Pacific Electricに類型車はいないでしょう…


34′ Baggage Carも見付けてしまいました。これら客車2輌、Docksideに牽かせる、って手もありますが、運転するなら何か適当な牽引機を見繕ったほうが良さそうです。

【忘年工作会】開催しました


12月15日に「ほっとプラザはるみ」において、忘年工作会を開催しました。


私の今回のテーマは、「複線直交ホイホイ」のギャップ切りです。振り返ると、一昨年の忘年工作会でもギャップ切りをやっています。色々物を展開して、落ち着いて作業できるので、工作会のネタに向いている様に感じています。ま、それはともあれ、レール脇のプリント基板に1 mmφの孔を開けて#4/0の糸鋸刃を通し、基板諸共レールを挽ききります。作業効率の面からすると、孔数は少ないほうが効率が上がります。写真は最初、試しに三孔でやっているところです。


糸鋸で切らなかった部分の絶縁は、基板表面の銅箔を剥がすことで確保します。帯状に細く剥がすだけで充分なので、色々試してみましたが、デザインナイフのブレードを、刃が内側にくるように咥え、刃の付いていないブレード基部を「鑿」のように使うのが一番楽でした。これを見出すまでは結構大変で、孔を四つにして、糸鋸主体でギャップを切ることも試みましたが、最終的に三孔で、必要な部分はレールを定規に、その際の銅箔を細帯状に剥がす手法に落ち着きました。写真は一旦ギャップを作った後、テスターで絶縁を確認しているところです。ガラスエポキシ基板ですと、切った箇所や銅箔を剥がした箇所が透けて透明~半透明にみえますので楽に確認できるのですが、意外と銅箔の切り屑がギャップに挟まり、導通している例がありました。


こちらは別の方のホイホイの工作です。今年の2月運転会での工作の続きです。

工作会終了後は、「ほっとプラザはるみ」の名残を惜しむべく、建物内の「Harumi Sea Terrace」で忘年会を開催しました。仕事先から忘年会に参加するためだけに来場された方もおり、感謝しております。

500 mmR複線エンドレス


少々考えるところがありまして、去る9月23日の合運向け接続試験の際、余ったホイホイで組んだエンドレスの寸法を計測しておくことにしました(Kさんがかつて、「検地」と表現されていましたが、言い得て妙です)。


写真を参考に、配置を再現します。合運に使うための配置に注力していたため、一枚しか撮影していませんでしたが、そこはデジタル写真の強みで、拡大して現物と見比べた結果、配置を再現することに成功しました。


で、寸法を概略5 mm単位で測り、CADで1/20図面を起こしました。曲線半径は、曲線定規を使って測定してみました。ホイホイの場合は、線路の寸法よりも、ボードの周辺寸法を測っておきませんと、いざ配置する際に干渉したりします。というか、ボード内部の線路寸法は、接続部の寸法さえ出ていれば、余り重要ではなかったりします。


採寸後、元配置では行先のない分岐が幾つかあったので、それらを整理してみました。枝線は分岐後、250 mmR曲線で左に90°曲がった後、両亘りを経て留置線に至る配置となりました。両亘り~留置線の間にある、拡がった部分にはホームを置くと良いかもしれません。路面電車に島式ホームはありか? と思われるかもしれませんがご安心を… 「万葉線の中新湊駅」に実例があります(右側通行にして、左側からの乗降に対応していました)。Market Street Railwayでも、Eラインは島式ホームがあるので、両運車限定だそうです(両運ならば、両サイドにドアがあります)。枝線の250 mmR曲線を、未だ余裕のある500 mmR曲線に置換すれば、これまでより一回りゆったりとした線路配置が出来そうです。

今回の採寸では、Yさんに多大なご協力を頂きました。厚く御礼申し上げます。

【新車出場】カブースとオアカー


運転会等でトレーラーとして使用するため、カブースとオアカーを作ってみました。


以前、B&O鉄道のC-16に、Gorre and Daphetid Railroadのコスプレをさせましたが、それに牽かせる目的で、同じロードネームにしてあります。


カブースは、バックマンの二軸カブースを、ケーディのHGC製カブース用アーチバー台車(#583)でボギー化したものです。台車の位置は、単コロホイホイの130 mmRを通過できるような、ぎりぎりの位置に収めてあります。機関車とカブースを同一ロードネームにしておけば、間に挟む貨車のロードネームは何でもいいので、これも機関車と同じく、Gorre and Daphetid Railroadのコスプレをさせました。


オアカーは、偶然入手した旧ラウンドハウスのレタリング済み製品を組み立てました。但し台車は、ケーディの金属製ベッテンドルフ台車(#500)に交換しました。こちらは残念乍ら130 mmRは通過できません。

さて、いくら何でもオアカーが一輌では様になりません。オークションか何かで中古品を入手して塗り替えようかと思っていたところ、またまた幸いなことに、同一製品のアンデコキットが、新品で入手できました。ここに掲載した製品を参考にレタリングを起こして、もう一輌増備することを考えている最中です。

【追悼】kingyo(中澤 寛)さん


弊グループ創設者のひとりで、初代代表を勤められましたkingyo(中澤 寛)さんが、去る11月12日、旅行の途上、米国シカゴで亡くなられました。

中澤さんの業績としては、「ドアの開く電車」の他、様々なギミックを満載した車輌が知られていますが、ここではちょっと趣を変えて、線路・制御関係の業績をお伝えしたいと思います。

まず第一は、「トロリーホイホイ」の開発です。複線間隔50 mm、曲線半径250 mmという大枠はそれ以前に定まっていましたが、ユニット間の接続に、KATOユニトラックの接続部を利用する、ということの発案と実証をされたことに、我々は大いに助けられました。当初私は、「寸法を全接続部で揃えるのは困難であろう」と考えましたが、実際に製作してみますと、ステンレススケールを使った罫書レベルで互換性を確保することができ、不明を恥じました。我々の他にもこの方法を利用されている方がおられると漏れ聞きますので、今後に繋がる業績かと思います。

二番目は、本邦におけるDCC普及の先駆的役割です。2000年8月13日の、第1回国際鉄道模型コンベンションのクリニック1コマ目で、DCCとトロリーホイホイのデモをされました。KATOがDCCを扱う直前です。その後、訪日されていたDigitrax社の社長、Jill Irelandさん(記憶に頼って書いています。申し訳ありませんが、間違いはご容赦願えればと思います)と、親しく話されていたのことが、昨日のように思い出されます。

三番目は、複線配置におけるフィーダ配置で、「対向配置」、即ち、4本のレールのうち、外側2本を同一極性、内側2本を反対側同一極性とするフィーダー配置を紹介されたことです。ご本人は、「ドッグボーン配線」と呼ばれていましたので、単線エンドレスのドッグボーン配置をヒントにされたものであることは明らかですが、このフィーダー配置は他に例があったのか、それとも中澤さんのオリジナルだったのか… 確認する術は失われてしまいました。このフィーダー配置は、リバースを含む配置では、非常に効果的な配線方法です。また、「トロリーホイホイ」のフィーダーは、KATOのDC延長コード(青白)を利用していますが、外側を「青」、内側を「白」に間違えなく接続しておけば、(亘線を例外にして)ホイホイの向きを特段気にしないで接続できる点で、設置時のミス防止に有効でした。

この他にも、線路・制御関係では、様々なアイデアの発案と、製品紹介と購入のご助力を頂きました。

中澤さんとは、パソコン通信ニフティサーブ以来、凡そ四半世紀のお付き合いを頂きました。その間、色々とご迷惑をおかけしてしまいました。それにもかかわらず、長年に渡り、一緒に楽しませて頂きました。ありがとうございました。