工作

UT-1復活

写真なしの短報です。

10年程前、ちゃんと動作しなくなったDigitraxのUT-1ですが、改めて症状を書いてみると…

  1. 使い始めはちゃんと動作する。
  2. 暫くすると「unable control」となって制御が外れる。
  3. ちゃんと動作してから制御が外れるまでの時間が、短期的にも長期的にも時間が経過するにつれて短くなる。

といったものでした。短期的にも長期的にも、というのは、不調発生直後は使用開始から5分経過すると制御が外れ、暫く休ませた後では3分経過するとまた外れたところ、不調発生から半年ほど後では使用開始から3分経過すると制御が外れ、暫く休ませた後では1分経過しただけで制御が外れる様になった、ということです。これから察するに、部品内部かプリント基板、ハンダ付け箇所のどこかにヘアクラックが入り、通電によって昇温すると膨張で通電しなくなり、それを繰り返すうちにクラックの幅が拡がっているのだろうと推測していました。この場合、素人に手を出せるのはハンダ付け箇所のヘアクラック補修だけですが、やってみて駄目なら諦めもつくというものです。

ということで修理不能(恐らく交換対応)であることから覚悟を決めて分解してみたのですが、プリント基板上には表面実装部品がずらり… 手を出せる自信がなくて10年間、分解状態で放置してしまいました。

ところが近年、電子工作用に温度調整機能付の半田ごてを導入して作業しているうちに、朧気乍ら自信が付いてきたので、ほぼ全てのプリント基板上のハンダ付け箇所にコテを当て、ハンダ付けをやり直して再組立してみた結果、正常に動作するまでに復活させることができました。プリント基板の固定部は、分解の際折れてしまいましたので、基板の位置を保つには追工作が必要でしたが、まぁこれで手軽に使えるスロットルを復活させることが出来ました。ハンダ付け箇所のヘアクラックという見立ては正しかったようです。UT-1は不調になる例が多いような印象ですので、駄目で元々ということで、基板上のハンダ付けをやり直してみては如何でしょうか?

都電ホイホイ右亘り(4終)

都電右亘りホイホイの舗装を続け、完成へと持ち込みます。


線路外側部分にも学校教育工作用紙を2枚重ねにした下敷きを作り、更にその上にマーメイド紙を貼ってからそれぞれの位置に固定します。固定にはいつもの通り、ニチバンのナイスタック(一般タイプ)を用いました。


長さを合わせたWalthersのStreet Track Insert Setをこれまで同様、TAMIYAのLP-75「バフ」とLP-4「フラットホワイト」を凡そ1:1に混合したもので塗装しました。プラ製品であり、同系統色の材料でモールドされていますので、サーフェイサーによる下塗りは省略しました。


塗装を済ませた中敷をレール間に接着します。以前は接着にボンド木工用使用したのですが、今回はKATOが輸入しているGlue ‘n’ Glazeを使用してみました。主成分はエチレン酢酸ビニルですから、MRの製品紹介で推奨された「white glue」の範疇かと思いますのでこれにしてみました。

ということでまぁ何とか、都電ホイホイ右亘りが完成しました。これでアメリカ型路面電車も本来のスタイルで運転することができる様になりました。

Pacific Electric 100 Series Local Car (9)

車体を組み立ててデカールを貼りました。


妻面側面屋根と5つに分かれている車体を仮組みして様子をみているところです。ここでダボが充分入っているかどうかをチェックします。2箇所程入り足らないところがありましたので、1.5 mm径のドリル刃で浚い、きちんと入る様に調整しました。ちゃんと組まれていることが確認できましたら、内側からダボ部分に接着剤を流し込んで接着します。接着剤には何を使ったらいいのか悩んだのですが、最近愛用している、30分硬化タイプのエポキシ系接着剤をアクリルラッカーシンナーで伸ばしたものを使用しました。硬化後に試してみた結果、ちょっと接着力が弱い様に感じられましたので、もう1回同じものを流し込んで補強しました。


塗料が回りきっていない箇所をちょっと修正した後、デカールをストライプから貼っていきます。デカールはMicroscale Industries社からそのものズバリが発売されていますので、それを利用します。ストライプの品番は87-564です。写真では前述した、接着剤を流し込んだ「ダボ」が写っています。

デカールの貼付方法は、大昔「とれいん」誌で指南されていた方法に従いました。即ち、デカールは浮くまで水中に浸漬させて台紙の糊を完全に落としてしまい、軟化剤でデカールフィルムを溶かして固着させる方法です。この方法をとるとフィルムも薄くなり目立たなくなります。軟化剤にはタミヤの「マークフィット《スーパーハード》(品番87205)」を使用しました。

この方法では、水に浮いたデカールフィルムを貼付箇所に移すのが一苦労です。今回は薄い透明プラスチックフィルム上に載せて水から揚げ、貼付箇所上でスライドさせることで好結果を得ました。薄い透明プラスチックフィルムと仰々しく書きましたが、要はDM送付等に使われている透明封筒を適当な大きさに切ったものです。


その他の細々した文字を貼り、オーバーコートして仕上げました。細々した文字はMicroscale Industries社の87-563で、オーバーコートはGSIクレオスの、「スーパークリアⅢUVカットつや消し」を使用しました。

車番はデカールに同封されている説明書にあった106として、側面の細かな文字の配置もそれに倣いました。車番を106とすれば、この一連の数字列がデカールに入っていますので、ひとつづつ数字を並べる手間が省けます。妻面には車番と、”WATCH YOUR STEP”の文字を貼ってあります。メーカーの作例では妻面に”ENTRANCE”の文字が入っていますが、側面にも入ってますので、流石にダブルで入れることはないかな、ということでこうしてみました。ちなみに側面の細かな文字の配列が異なる後年の写真では、側面に”ENTRANCE”、妻面に”ENTER FRONT DOOR”と入っています。

次回で何とか完成に持もっていけそうです。

都電ホイホイ右亘り(3)

軌框を敷いた都電右亘りホイホイの工作を続けます。


スプリングポイントの復元バネを0.5 mm径のスプリング用ステンレス線で作ります。過去に書いた様に、スプリングの長さをできるだけ長くとるのがコツです。またスプリングは、中央辺りで360°曲げてループを作り、そことスプリング先端を木ネジで止めると効果的に止められます。スプリングの材質と線径は、過去の実績に従いました。


続いて線路の中敷となるWalthersのStreet Track Insert Setの長さを調整します。長さと直角に注意して一歩一歩擦り合わせます。写真は、長さを調整したStreet Track Insertを仮止めして様子をみているところです。


線路間舗装の下敷きを作ります。100均等でも売っている0.5 mm厚程の学校教育工作用紙を2枚重ねにして寸法を整え、その上にマーメイド紙を貼って舗装を表現します。工作用紙は接着面にTitebondを塗って厚手のシナベニアに挟み、上から錘で圧着して反りを防止します。マーメイド紙は発泡スチロール用接着剤を使って接着しました。発泡スチロール用接着剤は主成分が酢酸ビニル樹脂、溶剤がエタノールとアセトンですので、紙を伸ばす心配が小さいので愛用しています。昔、同じ酢酸ビニル樹脂ですが、水性エマルジョン系接着剤を使って表層のマーメイド紙を貼ったところ、盛大に反ってやり直しになったことがありますので用心しています。マーメイド紙の色調はここに書いた通り、「グレー2」です。写真に写っている部分は、両横を枕木で支えられていますし、線路外側の部分は完全に枕木上ですので、これで充分という判断です。

弊社プロジェクトにしては珍しく、3ヶ月程で完成しそうです。

Pacific Electric 100 Series Local Car (8)

電装品に引き続き、トロリーカーの肝となる、ポールとポールフックの製作です。


使用ポールはMiniatures by Eric製のUS13、HTP4を使うことにします。製作者のEric Courtney氏が2024年5月に亡くなられたということなので、今後の入手は市中在庫のみということになります。入手品は写真の通り、先端がトロリーホィールになっていますので、購入しておいたトロリーシューに交換して実車と揃えました。

トロリーピボットは、在庫していた米国の標準品を使用します。Double Truck Birneyでは、国産の外径2.0 mm、内径1.5 mmのシャフトブッシュに、外径1.5 mm、内径1.0 mmのパイプを挿入して使いましたが、このモデルでは屋根に空いた孔径がちょっと小さく、米国標準品でないと挿入できません。部品が在庫していて幸いでした。


ポールフックの製作です。「へ」の字に曲げた真鍮線を斜め支柱として、垂直に支持した主柱に沿わせ、接触点を銀ロウ付けしました。その後、主柱高さや支柱長さを現物合わせで切断し、主柱上部に真鍮線をもう一本水平に銀ロウ付けしてポール引掛部を作りました。使用した銀ロウは、新富士バーナーの粉末銀ロウです。材料は全て0.4 mm径の真鍮線ですので、銀ロウ付けしないと強度が保たないと思います。高温で付けますのである意味(ちゃんと固定すれば、の意味)、ハンダ付けよりも容易かと思います。また、短い材料を付ける場合には長いまま付けた後に短く切り詰める様にすれば、楽にロウ付けできます。


ポールと、ポール引掛部を成形したポールフックを仮組してみます。拡大するとちょっと粗がみえますが、実際は小さなものですので良しとします。これでほぼ全ての部品が揃ったことになります。