工作

都電ホイホイの改修


10年以上前に、「旧作・健在?」ということで紹介した都電ホイホイですが、「DSairLite」に触発されて、「簡単に持ち運びできる線路が欲しいなぁ…」ということになりまして、改修することにしました。


問題は先に述べた通り、経年変化でレール間の舗装が浮き上がっていることでした。これは先に撤去してしまっているので、復旧しなければなりません。逆に言えば、これを復旧すれば、最小限のエンドレスとして現役復帰出来ます。先ず、PECOの枕木には接着テープがよく効きませんので、枕木間に「詰め物」を接着し、これを介してレール間の舗装を固着することにしました。「詰め物」は3.5×15 mmに切り出した2.0 mm厚スチレンペーパーで、これを枕木間に1つおきに接着しました。舗装して上から隙間を通して見える部分は、艶消し黒で塗り潰しておきました。


中敷きは曲線半径180 mmRという設計諸元から、レール間の中敷をレーザーカットで抜いてみました。カットそのものは、IORI工房さんに依頼しました。公称0.5 mm厚の紙で抜いて頂きましたが、実際に4枚重ねで接着してみると1.8 mm厚… うーん、実寸は0.45 mm厚位でしょうか… (注:これは有効数字の問題でして、0.45 mmを0.5 mmと表記することは何等問題ありませんので誤解なき様お願い申し上げます)。過去に使用したWalthersのインサート(#933-3140)を目標に、厚さ2 mmを目標にしましたが、0.2 mm程薄くなりました。これはこれで、線路クリーニングの際に中敷きを傷付ける可能性が減りますので、「良し」とします。


表裏をGSIクレオスの「Mr.フイ二ッシングサーフェイサー1500ブラック」で下塗りしてから、TAMIYAのLP-75「バフ」とLP-4「フラットホワイト」を凡そ1:1に混合し、かつて使用したPollyScaleのAged Concreteに似せて表面に吹き付けました。PollyScaleのAged Concreteの在庫はあるのですが、紙に水性塗料を吹くのも何か抵抗がありましたので、今回はアクリルラッカー系塗料を調色して吹いてみました。

中敷きを仮固定して試運転です。ここに写っている都電6000と、P.E.のDouble Truck Birneyを使いましたが、どちらも問題なく通過しました。ということで、残りの中敷きをどんどん量産していくことに致しました。曲線手前に写っているのは、前回触れた、製作を中止した路盤を利用したフィーダー付きホイホイです。これも舗装してやらねばいけません。

【12mmホイホイ】接続部の工夫


12mmホイホイの接続部ですが、茶系統のバラストを撒くと、接続部に使用したユニトラックの灰色が目立って感心しません。


これがその状況です。塗装しれば宜しいのでしょうが、ABS樹脂は塗装すると割れ易いといいますし、弊社でもDouble Truck Birneyを作る際、台車枠の取り付け部を塗装した際に割れてしまった経験があります。色々情報収集した結果、1)力が掛った状態、つまり押し込んで固定した部分とか、摩擦で半固定状態にあるところ等を塗装した場合は割れ易く、2)そうでない場合は意外と大丈夫だが、有機溶剤系塗料だと割れ易い傾向がある、ということが言われていました。確かに、割れた台車枠も、押し込んで固定した部分でした。


ということで、ユニジョイナーを抜いてから(つまり、力が加わらない状況にしてから)、水溶性アクリル絵の具であるリキテックスのローアンバーで着色してみました。そうすると今度は、灰色のままのユニジョイナーが目立つ様になりましたので、こちらの上面も同色に着色し、枕木と接する中央凸部をペイニーズグレーで着色してみたところ、一応満足いく程度にまでは目立たなくすることが出来ました。

観察してみますと、ユニジョイナーの中央凸部はモールドされた枕木幅と一致しています。Nユニトラックでも同様です(だからNユニトラックでは、接続部の枕木が太くなります)。最近発売されたナロー用ユニトラックの枕木が太いのは、これに引っ張られているのだと理解した次第です。


ユニジョイナーを塗る際は、絵の具が付着するのを嫌って、内部の金属部を抜いてから塗装しました。ついでにこちらも目立たなくする様、レールと同じ様に黒染めしてみました。

レールも黒染め、ジョイナー金具も黒染めとなりますと、導通が心配になります。そこで、ヤマさんのweb記事を参考に、レール下面に真鍮帯板を入れてみることにしました。材料は紹介記事より太く、0.2 mm厚の1.3 mm幅としました。これを内法(うちのり)12.7 mmのチャンネル状に折るだけですが、数が要るので、写真の様な簡単な治具を作って量産しました。

「外から見えたら、これも黒染めだなぁ…」と覚悟していたのですが、組み付けてみますと、完全にレールの下側になって見えなくなりました。ということで、このまま運用することにしたいと思います。元アイデアを出された489氏と、旧Twitterでそれを紹介された長者丸氏、並びに直接参照させて頂いたヤマ氏には、厚く御礼申し上げます。

Double Truck Birney (6終)


仕上げにかかります。


電飾関係の配線です。写っている3連ICソケットは、中央が青(COMM+)、奥側が白(F0F-)、手前側が黄(F0R-)になっています。ソケットの中央を+、両端を-としてあるのは、前作のSEPTA Kawasaki LRVと同様、fool proofを意識しています。単独のソケットはデコーダから直接引き出した緑(F1-)で、室内灯用です。デコーダに挿さっているピンソケット側面の白色マークは、1番ピンのマークです。

実はこれ、ピンソケットへの配線が間違っています。黄(F0R-)はもうひとつ1番ピン寄りが正しく、青(COMM+)と白(F0F-)は逆になっています。表裏逆なので注意していたのですが、何か勘違いした様です。


配線を済ませたライトユニットを車体に貼付しました。LEDユニット間を結ぶ0.1 mmφのマグネットワイヤ―は、天井と窓枠裏側にメンディングテープで固定しました。ワイヤーを目立たなくする効果を狙ったのですが、ボディ内側に大型の動力装置が鎮座している状況では気休めにしかなりません。むしろ、組立時における配線の絡まりを回避する効果のほうが大きそうです。念のため、ピンソケット上面はアセテートテープを貼って絶縁しておきます。

この段階で灯火のテストをしたのですが、両ヘッドライト(F0FとF0R)が点灯しません。コネクタを外して原因を切り分けていくと… 1)車体側の配線は正しく、2)デコーダ出力も正常、ということが解りました。ということは、デコーダから3連ICソケット間の配線がおかしい、ということになり、調べた結果、前記の配線ミスが明るみになった次第です。勿論、直ぐに配線を修正して、両ヘッドライトは正常に点灯する様になりました。

不思議なのは配線ミスにもかかわらず、室内灯は点灯したことです。つまり、白(F0F-)と緑(F1-)の間には電流が流れた、ということです。ここで、F0をオンにすると室内灯は消灯します。これらから察するに、ファンクションがオフの状態では+側にプルアップされている、ということなのでしょう。


真横と真後に斜め支柱がある、独特な形状のポールフックですが、0.5 mmφの真鍮丸線から簡単に作ってみました。小さいものですので、まぁこんな程度でもいいでしょう。

ということで一応、人前に出せる状態にまでは纏め上げることが出来ました。

Double Truck Birney (5)


他のことを色々とやっていたので、前回より1年1ヶ月ぶりの書き込みです。


実は、凸モールド表現になっているヘッドライトの仕上げ方法で悩んでいました。元々は専用設計の3Dプリント製床板に指定部品を付けるだけという簡単な作業の積りで始めたのですが… 高さ方向の寸法が出鱈目という罠に嵌り、それを修正しているうちに「簡単な作業」というのは何だったのかという体たらく… もう、ここまで手を掛けたのだから正攻法で行こう、ということになりまして、ヘッドライトをくりぬいて1/80用の3 mmφレンズをはめ込める様加工しました。写真は、塗装・デカール貼りを済ませた前面と未加工のそれの比較です。つまり、塗装とかその辺の作業は地道に進行させていた訳です。


さてヘッドライトが透明となりますと、「ここまで手を掛けたのでから、点灯させなきゃ面白くないよね?」ということになりまして、前面裏側からレンズを照らすLEDユニットを作りました。で、そうなりますと、「ここまで手を掛けたのでから、室内灯も点灯させなきゃ面白くないよね?」ということになり、屋根裏側に貼るLEDユニットも作ることになりました。写真の上側に写っている、横に長いLEDユニットが室内灯用、下側に2つ並んでいるものが前照灯用です。室内灯用はハンダ付けが終わったばかりの状態で、この後でフラックスを洗浄する必要があります。


DCCデコーダは、故kingyoさんより頂いた、DH165IPの発生品(=新品ではない)を用いることにしました。通常使用時とは上下逆にして後部デッキに積み、上側からダブルピンソケットを4×2極に切ったものを挿し、それを中継端子とすることで結線しました。写真は、動力関係の配線をして、進行方向が正しいかどうかテストした時のものです(弊社では、片運車は運転台のある側を前、両運車は動力台車側を前としています)。今後は、SEPTA Kawasaki LRVと同様、fool proofを心掛けつつ灯火関係の配線を引き出していくことになります。

10/2追記:使用デコーダの外見が、Digitrax社の説明シート所収の写真とちょっと違っていて不思議だったのですが、F0以外のファンクションを引き出すパッドの外側に1×4列のユニバーサル基板が、33Ωのチップレジスタ(写真では裏側になっていて見えません)を介して固定されていることに気付きました。これはF1を引き出す際邪魔になりますので、取り外すことにします。

【12mmホイホイ】カーブレール敷設方法


一例として参考までに、カーブ部分をハンドレイする方法を書いておきます。


スパイクを打つ枕木をマーキングした後、罫書線を入れた透明プラスチック板を使って、中心線から5.5 mm外側にカーブ外側レール内側のスパイクを仮り打ちします。枕木のマーキングには、細切りしたマスキングテープを使いました。


仮り打ちしたスパイクの外側に沿わせてカーブ外側のレールをスパイクします。同時に先に仮り打ちした内側のスパイクも本締めします。


カーブ内側のレールを、G=12.4 mmのトラックゲージに従ってスパイクします。

TMS990号(2024年7月号)所収の「ORION PACIFIC RAILWAY」におきましても、ほぼ同様の方法でハンドレイが行われていますので、誰が考えてもまぁこの位の手法に落ち着く、といったところでしょうか? 尚、この方法では、カーブ内側レールをずらすことでスラックを与えていますが、実物では原則、外側レールを基準として曲線内方に軌間を拡大してつける(ボリヴィア国 鉄道網整備計画調査最終報告書 付属資料 付11-80ページ)とのことですので、まぁ実物通りなので問題ないと考えます。また、接続部はTILLIGのTT用道床付き組線路に合わせてG=12.0 mmとなっていますが、ごく短い長さですので、通過に支障はない模様です。