12mmホイホイ

【12mmホイホイ】カーブレール敷設方法


一例として参考までに、カーブ部分をハンドレイする方法を書いておきます。


スパイクを打つ枕木をマーキングした後、罫書線を入れた透明プラスチック板を使って、中心線から5.5 mm外側にカーブ外側レール内側のスパイクを仮り打ちします。枕木のマーキングには、細切りしたマスキングテープを使いました。


仮り打ちしたスパイクの外側に沿わせてカーブ外側のレールをスパイクします。同時に先に仮り打ちした内側のスパイクも本締めします。


カーブ内側のレールを、G=12.4 mmのトラックゲージに従ってスパイクします。

TMS990号(2024年7月号)所収の「ORION PACIFIC RAILWAY」におきましても、ほぼ同様の方法でハンドレイが行われていますので、誰が考えてもまぁこの位の手法に落ち着く、といったところでしょうか? 尚、この方法では、カーブ内側レールをずらすことでスラックを与えていますが、実物では原則、外側レールを基準として曲線内方に軌間を拡大してつける(ボリヴィア国 鉄道網整備計画調査最終報告書 付属資料 付11-80ページ)とのことですので、まぁ実物通りなので問題ないと考えます。また、接続部はTILLIGのTT用道床付き組線路に合わせてG=12.0 mmとなっていますが、ごく短い長さですので、通過に支障はない模様です。

【12mmホイホイ】乗工社「名鉄モ510」塗装窓枠剥離


オークション経由で入手した乗工社の「名鉄モ510」ですが、色々弄っていくうちに問題点が明らかになってきました。


キット付属の側面図です。窓枠の上端はほぼ窓上端と一致しています。


(パンタ側を前として)右側後方の窓枠です。位置が下過ぎて、窓枠上端が窓上端より下にはみ出しています。また、この写真でははっきりしませんが、窓枠自体、ちょっと前上がり(写真右側が前)になっています。


上の反対側、左側後方の窓枠です。こちらは上過ぎて、窓枠上端が窓上端より上に喰いこみ、窓枠下端の幅が広くなり過ぎています。また、この写真でも判る位、窓枠自体が前下がり(写真左側が前)になっています。

こんな窓枠ではちょっと我慢できませんし、塗装の傷み具合もかなりのものです。ということで、「再塗装」を決断しました。前提として、窓枠の入手はほぼ不可能(エッチング板の原図を描いて外注、という手段はありますが…)と判断されますので、それを傷めないように外すためには、固定している接着剤をうまく溶解させて除去しなくてはいけません。周辺の様子から、側窓枠はボンド G17様のクロロプレンゴム系接着剤で貼られているようなので、とりあえずラッカーシンナーに漬けてみました。シンナーの量を節約して、片面のみが浸かる状況にしましたのでちょっと時間がかかりましたが、無事に側窓枠を外すことができました。また、ラッカーシンナーで塗料が簡単に溶解したことから、どうもプラホビー用のアクリルラッカー系塗料で塗装されていた様です。

側窓枠は外れましたが、妻窓枠は外れる気配がありません。「これはゴム系ではないな… エポキシ系かな…」ということで、蕗狩軽便図画模型工作部日記さんのBlogを参考に、カンペハピオの水性タイプ塗料はがし剤を塗り込んで1日放置した結果、接着剤が軟化して、無事剥がすことが出来ました。まぁ実際には片側づつ作業したので2日かかりましたが… いずれにせよ、こういった接着剤剥離は焦ることなく、時間をとってゆっくり進めることが肝要の様です。


で、塗装と窓枠を完全に剥がした結果がこちらです。弄ってみての感想ですが、ボンド G17様のクロロプレンゴム系接着剤の経年劣化(弾性と接着力の喪失)は顕著という感じでした。ゴムの特性を調べてみると、クロロプレンゴムは「全体的にバランスの取れたゴムですが、飛び抜けた長所はありません。」とある一方、スチレンブタジエンゴムは「耐摩耗性、耐老化性に優れています。」とあります。同じコニシボンド社のボンドGクリヤーはスチレンブタジエンゴム系ですので、窓ガラスの接着にはこの方がいいのかなぁ… と思っている最中です。

【12mmホイホイ】レール敷設


最小限のエンドレス部分に、レールを敷設しました。


レールを敷設する前に、地面を着色しておきました。試作モジュールでは、水性アクリル絵具を混色しましたが、結果的にはタミヤのXF-72「茶色(陸上自衛隊)」と、殆ど同じ色に落ち着きましたので、時間の節約ということで、それをムラを作り乍ら塗ることにしました。レールはKATO HOユニトラックで使用しているものを利用し、敷設前にMicro Engineering製の黒染液で染めておきました。ゲージは、直線と接続部はTillig TT Bahnに揃えて12.0 mm、曲線部は0.4 mmのスラックを付けて12.4 mmを目指しました。


敷設後、レール上面を磨きだして試運転です。曲線通過性能の確認も兼ねて、オークションで入手した乗工社の「名鉄モ510」を走らせ、スムーズに走行することを確認しました。この曲線を通過可能なボギー車の手持ちは他にありませんので、「まぁこれで良し!」ということにしました。いざ問題が発生しても、ハンドレイですから、フレキ軌框より修正し易いということもあります。


参考になるかは不明ですが、備忘も兼ねて使用器材を載せておきます。左側上はシノハラ(現在はModels IMON発売)のレール矯正器、スパイク作業中にレール曲率を微調整する際に使用しました。左側下は自作三点式トラックゲージ、実際に使ってみますとスラックが付き過ぎましたので、レールの仮押さえ位にしか役立ちませんでした。下敷きになっているのは適当なべニア板端材に10.5 mmφ非絶車輪を、ワッシャーを介して木ネジで固定したレールベンダーです。車輪位置はトライ&エラーで決め、適当なところで手で修正して用いました。微調整が利く既製品各種ある様ですが、少量作るだけならこの程度でも充分役に立ちます。

右側上は自作トラックゲージ、G(TRACK GAUGE)=12.0 mm、S(SPAN)=10.3 mmを目標に作りました(ということでC(TRACK CHECK GAUGE)=11.15 mm、F(FLANGE WAY WIDTH)=0.85 mmになっています)。ちなみにその上側は輪軸ゲージで、K(WHEEL CHECK GAUGE)=11.1 mm、B(BACK TO BACK)=10.3 mmとなっています。中央は片端から5.5 mm離して罫書線を入れた透明プラスチック板で、カーブ外側レール内側のスパイク位置を決めるのに用いました。右側下はカーブ用のトラックゲージ、スラックを加味してG=12.4 mmで作ってあります。

中央は使用したスパイクで、下が主に用いたMicro Engineering製の微小(Micro)スパイク、下が接続部の固定に使用したシノハラ製のHOn3用スパイクです。いずれも顎を短く切り詰めて使用しています。

【12mmホイホイ】地面作成ほか


3月は所属別クラブで第9回鉄道模型芸術祭に参加したり、第22回国際鉄道模型コンベンションで走らせた乗工社ポーターの新たなる被牽引客車を組んだりしていました。客車の組立は、「レーザーカットや3Dプリントを取り入れた最新のペーパーキットの組み具合はどんなもんだろうか?」という好奇心も後押ししてのことです。ということで、トロリー関係の進捗は殆どありませんでした。


とは言うものの、何もしていない訳ではなくて、地面を作っていました。運搬を考えて軽量紙粘土で造形していったため、一気に厚塗りできないので時間がかかりました。とりあえずこれで、180R曲線ユニット4つ、225 mm直線ユニット1つの地面が出来ましたので、試作225 mm直線ユニットと併せて最小限のエンドレス部分の地面はできたことになります。


さて、この12mmホイホイを走らせる簡単な車輛として、JAM2023で発売された「田舎電車+貨車」を考えていたのですが、オークションに乗工社の「名鉄モ510」のキット組立品が出ていたので落札してしまいました。この製品、発売当時の模型ショーで、150Rの8の字エンドレスを軽快に走っておりまして、感銘を受けたものです。当初候補にしていたBStBのCe2/2は、輪軸がお手製ですので、メーカー製輪軸を持つこちらを優先しようと思います。


さて弊社にやってきたこの車輛、組立からやや年月が経過している模様で、上の写真の側からみるとそこそこですが、この写真の側は窓ガラスが脱落しています。連結器と車側表示灯も欠落し、車側表示灯は欠落後に取付孔が拡大されたことが伺えます。恐らく前オーナーは何か代用品を使って修復しようと画策していたのでしょう。それらを含めて整備し、再走行を目指そうと思います。

【12mmホイホイ】接続部の設置ほか


12月17日の忘年工作会において、弊社は12mmホイホイの工作をやっていました。


忘年工作会ではユニトラ接続部の改軌を進めました。中央不用部を除去した接続部を5つ程持っていき、ゲージを調整しつつ接着面を摺り合わせた後、TAMIYA製タミヤセメント(流し込みタイプ)で接着しました。接着はこの様にマスキングテープの上に工作物を貼り、そこそこ平面の出たアルミブロック上で上から押さえた後、接合部に微量の接着剤を縫い針の根本を加工して作った工具(Kadeeのカタログで、Lube or Cement Applicatorsとして紹介されています)で染み込ませて接着しました。あとは改軌したユニトラ接続部に合わせて、ベースボードの篏合部の切れ込み幅を調整しました。


18日以後、ユニジョイナー収容部の中央に補強の道床片をセメダイン製ABS用接着剤で接着した後、長さを調整してユニトラ接続部が完全に収まる様にしました。これで下拵えは完了です。


地面等を同時進行的に再工作するために、テスト用に作ったボードのうち、墨汁で染めた枕木とライトグレーのバラストを使ったほうの地面・バラストを撤去しました。上からエタノールを滴下し、地面は5 mm幅のコーキングヘラをベースボードとの間に差し込んで剥がし、バラストは調色スティックのヘラ側を使って掻き出して除去しました。バラストを完全に除去するまで時間はかかりましたが、案外簡単に撤去することが出来ました。その後、他の枕木と色調を多少なりとも揃える為、STカラーを染み込ませておきました。

これで来年には、地面と線路の製作に取り掛かれます。