車両

Pacific Electric 100 Series Local Car (5)


前回から1年近く書き込んでいませんが、ゆるゆると進行中です。


塗装を終えた台車枠を取り付けて、下回りを仮り組みして配線の取り回しを考えます。床板前後の一段下がった部分には車体が載りますので、動力装置の前方とモーターの後方にできる隙間、即ち配線処理に費やせる空間は意外と狭そうです。よって、Double Truck Birneyの様にDH165IPを載せるのはかなり苦しそうです。デコーダー基板を垂直に立てて収納するか、もうちょっと小型のデコーダーにするか、考える必要があります。


Double Truck Birneyは成り行きで、前照灯と室内灯が点灯する様にしてしまいましたので、本車でも前照灯に加えて室内灯と尾灯を点灯させることにしました。ということで、1.6 mm厚PCBからLED基板を切り出します。線を見易くするためにマジックインキを塗ってから罫書き、大きな板の状態でOLFAのプラスチックカッターで絶縁のための筋目を入れた後に糸鋸で切り出します。尾灯はDouble Truck Birneyではモールドのままに留め、点灯させませんでしたが、本車では既に孔が開いていますので、光学繊維を使って点灯させてみることにしました。


並行して車体の塗装も進めています。GSIクレオスの「Mr.フイ二ッシングサーフェイサー1500ブラック」で下塗り後、前に選定した塗料で上塗りしていきます。屋上の歩み板等は周辺をマスキングしつつ、筆塗りで塗り分けました。


側面と妻面は、窓および腰板から塗り始めました。とりあえず塗って様子をみているのですが、未だ下塗りの「黒」が透けている様ですので、もうちょっと塗り重ねてみようと考えています。表面も、未だ積層痕が目立つ状況ですので、塗膜を厚くする余地はありそうです。ともあれ、ShapewaysのMarketplaceは消えてしまいましたので、破損させると補充は不可能です。よって、失敗しない様に慎重に進める必要があります。

都電のビューゲル


以前、トラムウェイから都電7000、7500、8000形が発売されていましたが(YさんがDCC化取り組み中です)、ビューゲルがちょっと小さい様に感じていました。最近、実物図面があったことに気付き、その辺を検証してみました。

都電ビューゲルの概要は、鉄道ピクトリアル昭和35年7月号に江本広一氏が、「都電見聞録[完]」の中で書かれています。「現在使用しているのは、泰平のTY26形と明石のQ302形で、数は前者の方が多く、大体2:1の割合である、とはいうものの、あとで修理の際に上半分を取替えて…」とあります。このことから、ビューゲル弓下部のパイプ間隔は泰平も明石も同一と考えられます。さて、鉄道史資料保存会から出ている「大阪市電 車輛構造図集」にTY-26ビューゲルの図が掲載されており、パイプ間隔は460 mmと読み取れます。


これが明石製作所製ビューゲルです。文京区立神明都電車庫跡公園に保存されている6063号に載っています。


こちらは同公園に保存されている乙2号に載っている泰平電機製ビューゲルです。この電車、保存された後一旦綺麗に修理されたのですが、その後上に張られていたキャンバス屋根が破損して雨曝しになってしまい、かなり傷んでいました。その頃はビューゲルが荷台の上に載せられていて触り放題だったのですが(それを狙って採寸しに行った訳です)、今回訪ねてみると又綺麗に修理され、更に恒久的な屋根も新設されていました。大事にされている様で、何よりです。


実寸と模型を比較してみます。1/80スケールでは5.75 mmとなるところですが、そこそこ良い感じと思われるアルモデル製簡易型ビューゲル(Bタイプ)でも5.4 mm(図中A)、製品付属のものでは4.6 mm(図中B)しかありません。うーん、やはり小さく見えた感じは正しかった様です。

さて、大きさ的にはアルモデル製品に振り替えるのがいいのですが、簡易型と謳っている通り、ディティール的には劣るものへのに振り替えになることです。ディティールを追加しようにも、「弓」と「ベース」がエッチング抜きで一体ですので、中々簡単ではありません。うーん、どうするか悩ましいところです。

小田原の保存車


先日、別件の調査旅行からの帰路、箱根から小田原に降りてきたところで、道の反対側に路面電車を見掛けました。


行き過ぎてから停車し、振り返って位置を確認します。場所は「箱根口」交差点のちょっと箱根・沼津より、「箱根口ガレージ 報徳広場」内です。1956年まで、この前の国道1号を箱根登山鉄道小田原市内線が走っていました。


近寄ってみました。広場隣にある洋菓子店のイートインスペースとして利用されている様です。


来歴が掲出されていました。元は王電の400形で、都電100形を経て小田原市内線モハ20形、廃線後は鋼体化のうえ長崎電軌の150形となり、廃車後こちらに保存された、とのことの様です。手持ち資料をみてみますと、鋼体化時に全長縮小、その後台車を交換しているとのことですので、現役時代この前を走ったことがあるのは、台枠の一部だけ、ということになります。何はともあれ、ゆかりの車輛がゆかりの地で保存されているのは喜ばしいものです。

ここからちょっと湯本寄りには、箱根登山鉄道モハ1形107号も、カフェのイートインスペースとして保存されている様ですが、気付きませんでした。こちらもいずれ機会を作って訪問したいものです。

2022合運始末と名鉄モ510修理


2022関東合運で発生したトラブルといえば、立ち上げ時にD101内蔵のブースターが異常動作し、未だ線路電源を入れていないのに留置中の動力車が暴走したことでした。数回この現象が発生し、「これは電解キャパシタの液漏れか?」と思いまして、立ち上げの際にD101から線路への給電ケーブルを外すことにしたところ、異常動作しなくなりました。

こんな事象は初めてでしたので、つらつら考えてみますと、D101の給電区間に動力車を大量(6輌載っていました)に留置して立ち上げたのは初めてだったことに気付きました。「これは突入電流の所為かもしれないなぁ… スイッチか抵抗を入れる必要があるなぁ…」ということでKATO製品を調べてみますと、「給電スイッチ」という製品がありました。求める機能そのものの製品ですので、次回運転会迄には導入し、立ち上げ時にはD101からの給電を物理的に遮断し、動作安定後に接続する様運用したいと考えています。

キャパシタの液漏れについては、過去に発生して交換した旨の報告(web記事)がありましたので、D101の底蓋を開けて確認してみました。狭い隙間から覗いた結果、防爆弁の開放や基板の汚損、臭気は確認されませんでした。未だ大丈夫な様子です。

閑話休題、関東合運も終了しましたので、12mmホイホイの製作を再開します。手始めに塗装を剥離した名鉄モ510を再塗装したいと思います。


入手したモ510のパンタをよく見ますと、碍子が上下反対に組まれています。またパンタそのものも、うまく上昇してくれません。碍子は一旦外して上下反転させるとしてパンタを観察しますと、どうも台枠が歪んで上窄まりとなっていて、上昇が阻害されている様子です。


これはもう、姑息な手段では矯正不能ですから、温めてハンダ付けを緩めて主軸と碍子を外し、台枠単体にしてから歪みを矯正して組み直しました。ハンダ鏝を持ち出したついでに、中心から外れた位置に付けられていたシューの位置も修正しました。ご覧の通り、上昇位置で、ちゃんとした格好で止まる様になりました。別口で入手してあった予備の同型パンタもあったので気楽な作業でしたが、もう新品で入手することが不可能なパンタですので、復旧することができて何よりでした。


欠落後に取付孔が拡大された車側表示灯は、裏側から真鍮小片を当ててハンダ付けして塞ぎました。ちょっとでも下にずれると窓枠が嵌らなくなり、上にずれると孔が塞がらないという、中々シビアな位置関係になっていますが、何とかうまく行きました。写真では、下が少し空いていますが、ここには窓枠上端が顔を覗かせます。こうして出来た丸い凹みに塗装後、直径1.5 mmの薄い赤レンズ(エコー#2681)を嵌めて、車側表示灯に見立てる計画です。

これで一応、車体の修理は完了しましたので、塗装に移ります。赤白塗り分けの急行塗装は映えて格好良いのですが、塗り分けがちと面倒なので、今回は赤一色としてみます。塗装では、台車やステップ、フェンダー等も黒色から灰色にしたいですねぇ…

Double Truck Birney (6終)


仕上げにかかります。


電飾関係の配線です。写っている3連ICソケットは、中央が青(COMM+)、奥側が白(F0F-)、手前側が黄(F0R-)になっています。ソケットの中央を+、両端を-としてあるのは、前作のSEPTA Kawasaki LRVと同様、fool proofを意識しています。単独のソケットはデコーダから直接引き出した緑(F1-)で、室内灯用です。デコーダに挿さっているピンソケット側面の白色マークは、1番ピンのマークです。

実はこれ、ピンソケットへの配線が間違っています。黄(F0R-)はもうひとつ1番ピン寄りが正しく、青(COMM+)と白(F0F-)は逆になっています。表裏逆なので注意していたのですが、何か勘違いした様です。


配線を済ませたライトユニットを車体に貼付しました。LEDユニット間を結ぶ0.1 mmφのマグネットワイヤ―は、天井と窓枠裏側にメンディングテープで固定しました。ワイヤーを目立たなくする効果を狙ったのですが、ボディ内側に大型の動力装置が鎮座している状況では気休めにしかなりません。むしろ、組立時における配線の絡まりを回避する効果のほうが大きそうです。念のため、ピンソケット上面はアセテートテープを貼って絶縁しておきます。

この段階で灯火のテストをしたのですが、両ヘッドライト(F0FとF0R)が点灯しません。コネクタを外して原因を切り分けていくと… 1)車体側の配線は正しく、2)デコーダ出力も正常、ということが解りました。ということは、デコーダから3連ICソケット間の配線がおかしい、ということになり、調べた結果、前記の配線ミスが明るみになった次第です。勿論、直ぐに配線を修正して、両ヘッドライトは正常に点灯する様になりました。

不思議なのは配線ミスにもかかわらず、室内灯は点灯したことです。つまり、白(F0F-)と緑(F1-)の間には電流が流れた、ということです。ここで、F0をオンにすると室内灯は消灯します。これらから察するに、ファンクションがオフの状態では+側にプルアップされている、ということなのでしょう。


真横と真後に斜め支柱がある、独特な形状のポールフックですが、0.5 mmφの真鍮丸線から簡単に作ってみました。小さいものですので、まぁこんな程度でもいいでしょう。

ということで一応、人前に出せる状態にまでは纏め上げることが出来ました。