車両

玉電203号の走行性能改善(3)

付随台車にも集電ブラシを取り付け、集電性能向上を図ります。


キットに付属していた集電ブラシを完成品の付随台車フレームに取り付けました。キットの動力台車フレームと、今回ブラシを取り付ける完成品の付随台車フレームは同型でしたので、問題なく取り付けることができました。今後の保守を考えて車輪径を測ってみると直径6 mmでした。実物が直径510 mmですから、ほぼスケール寸法ですが、万が一のとき代替となる既製品を探すことは難しそうです。


これで細々としたパーツは揃いましたので、全体の取り纏めにかかります。先ず考えねばならないことは、前期型(キット)と後期型(完成品)では中間台車の復元装置の違いから、床板に開けられたネジ孔の位置が異なっていることです。具体的には、前期型(キット)の復元装置取付孔は後期型(完成品)と比べて16 mm運転台側にあります。どちらを使うか考えた結果、1)いまさら車体連結金具を作り直すのは面倒臭い、2)キットの床板を使用するには塗装が必要だが、どうせ車体連結金具は塗装する必要があるのだから、一緒にやってしまえば手間もそう増えない、3)取付孔と連結側車端との距離は長いほうが、つまりキットの床板のほうが固定強度、精度的には有利、ということで、前期型(キット)の床板を使用することにしました。写真は上から塗装を済ませた車体連結金具と前期型(キット)床板、それと使用しない後期型(完成品)床板です。車体連結金具の向き合っている側の色が灰色がかっているのは、摺動部に摩擦軽減のためネオリューブ(後継品)を塗布したためです。


ということで下回りを組み立てて配線し、半径250 mmの曲線上に載せてみた状況です。配線は途中にピンヘッダー/ソケットを挿入し、2車体分離時の便宜を計りました。給電側となる台車側をソケット、受電側となるモーター側をピンにするのが常道ですが、今回はモーター側もそれ自身で集電していますので、そうしたところで短絡事故は防げません。ということで、左右でヘッダーとソケットの向きを入れ替え、誤接続を防止するだけに留めました。

これで試運転してみた結果、中間車軸は凡そ車体間角度の二等分線に従うよう制御されていることが確認されました。あとはちょっと引っ掛かる場合がありますので、その辺を仕上げれば完成です。

玉電80型の連結器交換

玉電64号と151号を二輌編成で運転しようとする場合、製品ではダミーの連結器をきちんと動作するものに交換する必要があります。そうなると、「連結二人のり」で模型化されている玉電80型二連の連結器をそれに揃えるのも、編成の自由度を上げる観点からみて有意義と考えます。ということで先ず、玉電80型二連の連結器を交換してみました。


向かって左側がIMONカプラーに交換した奇数車、右側がオリジナルのダミーカプラーのままの偶数車です。使用したIMONカプラーはHO-101というKD#711相当のものです。キットの指定はKD#714ですが、開放腕の長さを無視すれば#711と同じですので、何の問題もなく交換することが出来ました。大きさはほぼ同等で、連結可能カプラーに交換したことによるデメリットは感じられません。


「連結二人のり」ですから当然、連結状態で運転される訳ですので、連結状態での連結面の状態を確認しておきます。多少の伸縮が利くカプラーですから、この写真に様に半径250 mmの曲線上でも問題なく走行できそうです。こうやってみますと、ちょっと連結器が大きい様に感じます。実際のところ、IMONカプラーは1/87を目指してはいるが、HOのKadeeカプラーとの連結を考え、幅は1/78程、高さは1/60程になっているそうです(関係者の証言)。小さく納めたいのであれば、KD#705という選択肢もありますが、路面電車ではカプラー開放腕が敷石に引っ掛かりそうで怖いです。自動開放は先ず行わないので、開放腕を切ってしまうというのもありなのですが、コストその他の観点からも、とりあえずこのまま行くことにしようと思います。


オリジナルでは、連結面にはドローバーが使用されています。その場合での半径250 mm曲線上の状況がこちらです。交換後に比べて連結間隔が広く、この面からもIMONカプラーへの交換は意義あることかと考えます。

先に述べた玉電64号と151号も、連結器の交換は無事、完了させることが出来ました。これで玉電4輌、自由に編成を組み替えて運転することが可能となりました。

玉電203号の走行性能改善(2)

走行性能を改善するため、コアレスモーターへの換装を試みます。


3年程前に発掘された「むさしや」製M-002コアレスモーター交換キットを使用します。当初は京王2917号のリパワリングに使用するつもりでしたが、こちらのキャブ内にIMONミニモ-ターが収まりましたので、走行音が小さくなることを期待して玉電時代唯一のカルダン駆動車だった本形式に奢ることにしました。コアレスコーターに関しては、所属別クラブの情報では、「ネオジム磁石採用のもののうち、初期のものは駄目になっている可能性が高い」とのことでしたので、戦々恐々のうちに通電試験したところ、音も振動もありません。「うーんこれは駄目になっているのかぁ…」と一瞬思いましたが何のことはない、精度が高いので無音無振動で回転していただけでした。流石swiss made…


モーターに異常がないことが確認されたので、説明書通りに組み立てて換装しました。ギアは付いていたものが無事でしたので再用しました。こちらのキットは対象に「玉電シリーズ」が謳われています通り、取付金具が輪軸と干渉することもなく、無事に交換することが出来ました。取付金具は0.8 mm厚の真鍮プレス製のベースにモーターをネジ込み固定する挽物をハンダ付けする構造で、現行の純正対策部品がエッチング抜きであるのに対し、時代の差が感じられます。組み終わって試運転してみますと、期待通り小さな駆動音でした。


さてここまで、集中的に乗工社玉電シリーズを弄ってきましたが、動力6つのうち3つで動軸ギアが破損しており、玉電200形キット付属の動軸ギアも割れていました。振り返ってみますと、付随台車のプラフレームに明らかな違いがあることに気付きました。写真上側のフレームは土佐電600型用パワーユニット付属のもの、下側は玉電200形キット付属のものです。このうち、上側が付いていたものはギアが破損しておらず、下側が付いていたものではギアが破損しておりました。PU101用プラフレームとしては上側は現行版で、下側は初期版(恐らくキャラメルモーター用)に近いものですので、途中でギアが改良されたことが伺えます(ギア幅にも僅かに相違がありました)。Web上の情報を総合しますと、PU101自体、長年に亘って種々の改良がされている様でして、玉電シリーズはそれに影響されていることが判りました。また、玉電80形や200形、京王2917号では前後台車のプラフレームが異なっておりますので、動力装置としては使用できないプラフレームを有効利用していたのでしょう。色々と考えられていたことが知れて面白く感じた次第です。

京王2917号の修理と改良(後)

京王2917号の修理と改良ですが、前半では動軸ギアの交換とリパワリングを実施しました。後半では付随台車に集電ブラシを増設し、全輪集電を目指します。


使用する集電ブラシは、PU101の純正交換部品を加工して使用します。幅3 mm長さ4 mmの0.2 mm厚洋白板で横への張り出し部を延長し、そこにブラシとして0.5×0.15 mmの燐青銅帯板をハンダ付けします。モーターへの配線取付部は1.0×0.15 mmの燐青銅帯板で延長し、床板に貼り付けたPCBに接触させてモーターへの回路を構成させます。写真下側が平面のまま加工を済ませた状態、上側がそれを曲げて成形した状態です。平面状態で取付部下端からブラシ上端までの距離は、玉電用のものに倣って7.5 mmとしました。このハンダ付けは、方眼紙の上で行いますと焦げ付きにより仮止めされますので、寸法と直角を容易に出すことができます。この辺は昔、「鉄道模型趣味」誌に書かれた通りです。尚、写真では前後に弓型の集電ブラシが付いたままですが、これがあると取り付けに支障がありましたので、最終的には切断除去しました。


上の集電ブラシを付随台車に取り付けた状態です。台車から上に生えているブラシは、センターピン両側で床下のPCBを摺る様にしましたが、この車輛にはちょっと前過ぎました。そこでこの後、前側のループをちょっと小さくして、もうちょっと後ろでPCBを摺る様に調節しました。集電ブラシについては上の写真での裏側がみえていますので、どの様に重ね合わせて継いでいるのかが解ると思います。


動力台車と付随台車を結線した状態です。これを走行ユニットとして上回りにネジ止めします。リード線は特に隠すこともしないで剥き出しのままです。この写真では隠れていますが、付随台車上側の床板下には、0.5 mm厚PCBから切り出した通電板が両面テープで接着されており、ここにリード線がハンダ付けされています。使用テープはできるだけ薄いものを吟味しましたが、意外にもニチバン製の一般タイプ、「ナイスタック」が厚さ0.086 mmでしたので、これを使用しました。どうも強力になるにつれて厚くなる傾向がある様です。


PCBとコードの収まり具合がこちらです。パンタ/動力台車側を前とした場合、床下機器左側に前から後ろまで貫通する隙間があり、ここにI社から発売されている「耐熱リード線」が2本、並列で収まります。黒色ですと見えても床下配管とも見えますので、「これで良し」ということにしました。

リード線は分解時に脱着する必要があるので、床板に二箇所でテープ止めしてあります。薄く柔らかく、かつ脱着できるテープを色々考えたのですが思い浮かばず、とりあえずマジックインキで黒く塗ったマスキングテープを使用しています。当初アセテートテープを使用しようかと思ったのですが、ちょっと厚く、経年変化で剥がれてくるということなので避けました。メンディングテープも小面積ではやはり剥がれてきた経験がありますので、何かうまいテープが見つかる迄はこれでいこうと考えています。

前回書いた「天啓」というのは、1)コードをそのまま床下に這わせても、床下配管に見えるだろう、ということと、2)付随台車と床板の間をブラシ接触で通電させれば、隙間を這わせた細いリード線で結ばなくても通電できる、という2点です。今後の分解整備時には、付随台車を完全に分離することが可能ですので、リード線直結と比較して作業能率向上が期待されます。

とりあえずこれで、京王2917号の「独り歩き(単行運転)対策」は完了です。

玉電203号の走行性能改善(1)

玉電200型は好みの車輛でして、学生時代(組説をみると1985とあります)に乗工社製キットを入手して組み立てかけました。しかし、キット付属車輪の厚みが2 mmしかなく、「これではまともに走らんなぁ…」ということで、途中で投げ出してしまいました。

その後入手した完成品の車輪厚は2.4 mmでしたので、何とか走りそうだったのですが、色々な事情で殆ど走行させることがありませんでした。しかし今回、乗工社玉電シリーズの復活整備を何輌かに実施しまして、「これもそろそろ何とかしてやらねば…」ということで、走行性能改善工事に着手しました。


これが走行させる際の最大の問題点です。1軸中間台車の前後に車体との接続ピンがありますが、この様に車体が左右にずれると中間車軸があらぬ方向を向いてしまいます。で、この様な状況は、動力台車が最後方に位置する推進状況では容易に発生すると考えられます(この記事の追記1参照)。ここにおいて床板から出ている支えの幅が5 mmですから、約2 mm強のずれでこんな状況に陥るということが示されています。

これを避けるために、製品には中間台車の復元装置が付いています。前期型(キット)は線バネで左右動を抑え、後期型(完成品)では中間台車前後をコイルバネで引っ張って角度を制御しようとしていますが、いずれもカーブ通過時に2車体を真っ直ぐにしようとする力が発生する弊害があります。ちなみに実車の構造は中間車軸直上に両車体共通のピンがあり、中間台車は各車体それぞれとリンクで結ばれ、中間車軸は車体間角度の二等分線に従う様制御されています。見た感じ復元装置はありません。


そこで実物通りに中間車軸の向きを制御しようというアイデアが昔、Niftyの鉄道模型フォーラム(鉄道フォーラムの時代だったかもしれません)に投稿されました。即ち、この写真の様に両車体から腕を出して1つの関節で連結して左右のずれを抑制してしまえば、中間車軸は凡そ車体間角度の二等分線に従う様になる、というものです。ここで注意しなければならないことは、車体が折れ曲がった場合、新設した関節ピン孔の位置が直線での位置と比較して少々ずれる、ということです。これについて作図で確かめると、半径160 mmのカーブ上で車体が30°程折れ曲がった場合でも、ずれは0.25 mm程に収まる、という結果でした。つまり、関節のクリアランスを考えると、ほぼ問題にならないレベル、ということになります。発案者がここまで読んでいたかは定かではありませんが、いずれにせよ、「お見事!」と感嘆するしかありません。どなたの発案だったのかは最早忘却の彼方ですが、厚く御礼申し上げます。


で、このアイデアを如何に実装するか考えた結果、この様に連結面妻板下側にある、幅6.0 mm、高さ2.1 mm程のスロットに収めればいいのではないかということになり、早速作ってみた結果がこれです。実装手法は不明乍ら、先行実装者の方から「このアイデアは有効!」という感想も頂いておりましたので、この方針で進めようと思っています。参考までに材料と作り方を書いておきますと、金具は0.5×5.0 mm真鍮帯板の3枚重ねです。動力車側は最下層を突出させ、直径1.0 mmの真鍮線を銀ロー付けで立ててピンとし、付随車側は最上層を突出させ、そこに1×2 mmの長孔を開けてあります。金具と車体妻面の交差部には1.0×0.5 mmの真鍮帯板を巻き、車体とのずれをなくしています。ピンと車体端の間にある孔は、接続ピン先端を避ける孔です。この様に低い位置、則ち両車体と中間台車の接続ピン近傍にて両車体を結べば、ローリングの自由度への制限も少なそうです。

ここまでの検討と部品製作には、寸法取りと現物合わせの両面で、途中で投げ出してしまったキットの存在に大きく助けられました。今後の工事には、キット部品も大いに活用して(既に集電ブラシは8輪集電化のために流用することが決まっています)進めようと思っています。「以て瞑すべし」といったところでしょうか…