DCC

「DSairLite」の組立


Desktop Stationさんが製造・販売している「DSairLite」というDCCコマンドステーションキットを組み立ててみました。


組立前の基板です。上がメインボード、下がメインボード裏に固定するRaspberry Pi Pico Wです。で、左が組立状態での表側、右が裏側です。キットと言いつつ、メインボードに組み付ける部品はラズパイを含めて6個、そのうち取付方向に注意する必要があるものは47uFの電解キャパシタのみですから、先に組み立てた「スマイルライター コンボ-P」よりも気楽に組むことが出来ました。

入手したのは量産品第1ロットで、Raspberry Pi Pico Wにプログラムが書き込まれていません。そこで組み立てる前にラズパイにプログラムを書き込み、正常に書き込めることを確認した後、組付けました。書き込みは、Webページで公開されているDSupdateというソフトウェアで簡単に済ますことが出来ました。

ラズパイのハンダ付けに際し、双方の全パッドに予備ハンダを施したのですが、その厚みが邪魔になってハンダ付けがやりにくくなってしまいました。予備ハンダは四隅のパッドのみにするか、それともなしでパッドの隅からハンダを流したほうが宜しい様に感じました。


全部品を組み付けた後、ハンダ付け箇所を点検・補修して(ハンダ付けするところは57箇所で、中々の数です)通電してみたところです。ACアダプタには製造・販売元から推奨されているLTE10UW-S3-BS01という、15V 0.8Aのものを使用することにしました。もっと高電圧大電流のACアダプタも使用できるのですが、弊社所属の小型車輛ならばこの程度で充分、という判断です。


フィーダ線はコネクタに、KATOの給電側プラグのコネクターピンに0.8 mmφの燐青銅線をハンダ付けしてネジ止めして一体化させ、KATOのフィーダーを直接接続できる様にしてみました。左側に写っているのは、給電側プラグのコネクターピンを抜くための工具(エンジニア製SS-31)です。


全てを組み上げて試運転です。15個あるボタンは、非常停止にも使うPWRボタンを赤、走行前に使うMODEボタンとENTERボタンを黄、走行中に使うFNCボタンと<>ボタンを灰とし、残るテンキーを白に色分けしてみました。使ってみますと、非常にコンパクトでありかつ、アナログ車輛用のPWMアナログパワーパックとしても機能しますので、「これさえ持っていけば何でも運転できる」という、非常に使い勝手の良い制御機器になりました。欲を言うならば、ピュアアナログアダプタを作っておいて、完全DCでも運転できる様にしておきたいものです。回路としては、ゆうえんさんの記事が参考になると考えています。

ところで、安価で供給されるキットは需要が少なく、今夏で販売終了とのことで、これに伴い、色付きボタンの別売もなくなってしまった様です。残念ですが、タイパ重視の昨今では仕方ないのでしょう。まぁそれに伴い、製品コンセプトが「エントリー・廉価機」から「スタンダード機」に変更される(それに伴い価格も上昇、との告知があります)とのことですので、期待しています。

「スマイルライター コンボ-P」完成


5月の工作会で部品を組み付けた「スマイルライター コンボ-P」を完成させました。


PICを挿入したりカバーを被せたりする前に、部品の組み付けやハンダ付けがちゃんと出来ているのかを、我流乍ら検証しました。
まず目視で、ハンダ付け箇所を点検し、ちょっとでも怪しい箇所には追いハンダをしました。次に、Nucky氏のブログを参考に、USBコネクタの端子4つの間の導通がないことを確認しました。VBUSとGND間に短時間の導通が確認されて焦りましたが、回路図をみると47uFのキャパシタが挟まっていることが確認され、一安心しました。

続いて小さなUSB ACアダプタを接続して、PIC18F2550を挿す28ピンICソケットの20番ピンと8番ピンの間に5Vかかっている(20番が+です)ことを確認しました。この時、LED1(Power)の点灯も確認できました。ここまで来ればもう大丈夫だろう… ということで、PIC18F2550をソケットに挿入して、全体を組み上げました。


さて、次はちゃんとプログラムを書き込めるのかを検証する必要があります。ターゲットとしては「ワンコインデコーダ6」の基板にPIC12F1822-I/SNのみをハンダ付けしたものでも構わないのですが、表面実装部品のハンダ付け経験が乏しいので、いざ駄目だった時に、原因の切り分けが困難になります。幸い、「スマイルライター コンボ-P」にはICSP端子がありますので、Nucky氏の記事を参考に、PIC用書込みアダプタを作り、これにDIP版のPIC12F1822を挿してターゲットにすることにしました。アダプタは、1)「純正PICKitと比較するとICSP端子が引っ込んでいる」そうなので、ピンを外側に出す様にした関係から、2)ICSPの4番ピンからの配線取り回しを変更し、ここまででかなりの変更を加えたのでついでに、3)「スマイルライター コンボ-P」と「書込みアダプタ」が一列になる様全体を修正してみました。


書き込みソフトについては、廃棄予定のWindows XPパソコンを復活させ、そこにNucky氏の記事通りにPICKit2 Programmerをインストールしました。記事にある通りデバイス定義リストを更新した後、全てを繋いでテストしたところ、ちゃんと「スマイルライター コンボ-P」を「PICKit2」と認識し、挿したPICに対しRead、Write、Verify、Erase、Blank Check全てで正常に動作することを確認しました。


こちらはZIFソケットに挿したPIC12F1822-I/Pへ、「ワンコインデコーダ6」用プログラムを書き込んでいる様子です。

【工作会】開催しました


5月12日に「中央区立晴海区民館」において工作会を開催しました。


今回のプロジェクトの最終目標、Nucky氏頒布の「ワンコインデコーダ6」の基板です。弊社には小型電車が多く、集電に不安を抱える車輛が多いので、「Keep Alive機能がある安価なデコーダ」ということで以前から興味を抱いていたのですが、幸い別購入の部品が全部揃うタイミング(3216サイズの10uF/50Vのチップコンデンサに品切れが多かったです)がありましたので作ってみることにしました。ちなみにこれの旧版、ワンコインデコーダ4はkitasugaさんが組み立てられています

しかし、実際に作るとなるとプログラム書き込みに使用する「PICKit/SNAPアダプタ」が部品の入手ができず頒布停止になっています。書き込み装置も、安価なPICKit3互換品は頒布中断、後継機のPICKit4、5やMPLAB SNAPは結構な値段がします。幸い、この類の機器は何も持っていませんので、思い切って「スマイルライター コンボ-P」を導入することにしました。


ということで、ほぼ一日掛りでプリント基板に部品を組み付けました。残るPIC18F2550は、フラックスで基板がベタベタですので、洗浄後に組み付けることにしました。
さてこの機会に、温度調整機能付の半田ごてを新規導入してみました。秋月電子で扱っているALIENTEK(正点原子)製T65です。USB接続ですので軽量小型、非常に取り回しが良く、気に入りました。まぁUSB接続といってもPD(Power Delivery)機能がある、則ち5Vを超えた電圧を供給できるUSBアダプタが必要なのは誤算でして、それも新調することになってしまいました。尚、フルスペックを発揮させるべく65 Wのものを購入しましたが、本体の設定次第では13.5 Wのものでも動作可能な様です。また、静置しておくと自動的にSleep→Stdby→Shutdownと推移し、温度を自動的に下げてくれますので、安全性向上やこて先の寿命延長にも効果的かと考えます。あと、フルスペックを発揮させると、あっという間に使用可能温度に達しますので、時間節約という点でも有難いです。


Yさんのプロジェクトです。KATOのFL12先頭車用デコーダを単独で使用して、ヘッド/テールライトを点灯させようという計画です。苦労の連続でして、時間内に目的を達すること叶いませんでした。うーん、これはいずれ、「お題」を電子工作として、その辺の機材(赤い箱とか部品アナライザとかLEDテスターとか…)を揃えて皆で考える機会が必要かもしれません。

今回は参加人数を少なく、こじんまりした工作会でした。次回以降どうなりますことやら…

【2019合運始末】500R複線分岐の修理


2022関東合運で、kingyoさん製作の500R左複線分岐の調子が思わしくありませんでした。分岐方向表示用のLEDも直線側の青が点灯せず、どこかで不具合が発生している様ですので、修理を試みました。


保管担当者から引き取ってきた500R左複線分岐です。KATOの490R分岐を2つ使い、自作フログと組み合わせて複線分岐に仕立てています。全体としては、500Rの45度曲線と組み合わせ、500Rの90度曲線とします。ですから、曲線分岐した先の複線間隔は50 mmになっていません。


裏側には、Tam Valley Depot社製のDual Frog Juicerと、Digitrax社製のDS52が仕込まれています。症状は内回り線が時々ショートする、というもので、合運では対応するポイントを全通式から選択式に設定し直し、Dual Frog Juicerへの給電を停止させることで何とか動作させることが出来ました。配線を辿って回路を把握してみても、いまいち問題点がはっきりしません。

全体の結線を明らかにしてから、改めて試運転してみますと、車輛が特定のギャップを通過する際、直線側の分岐方向表示用LED(青)が点滅することに気付きました。「給電先から給電元へ電気が回り込んでいる… つまり給電元周辺どこかでの接触不良だなぁ…」ということで色々探りますと、赤丸で囲った部分に問題があることが判明しました。

ここはM2ネジの脱着によって、ポイント内部の配線を全通式/選択式に切り換える部分です。このネジにラグ板を共締めすることによって、Dual Frog Juicerへと給電しているのですが、ここの接触が不良の様です。よく観察しますと、根本に被せられたヒシチューブの厚みによってラグ板が浮いていました。長年、不完全な接触で通電してきたせいか、接触部も酸化している様子でしたので、1)ラグ板の根本を上側に曲げ、平面同士がきちんと接触する様に修正し、2)接触部をGOO GONEで清掃して酸化膜を除去してみました。これで直線側の分岐方向表示用LED(青)も正常に点灯するようになりました。


備忘録を兼ねて、レールへの給電様式を示しておきます。左側が並行配線、右側がドッグボーン配置で使用する対行配線です。全部で4箇所あるフログは全て無電区間となっていて、2箇所あるK字クロッシングは、並行配線ではNSは固定、対行配線ではDual Frog Juicerを介してNSを切り替えています。


並行配線/対行配線の切り替え部です。現在は並行配線で、ラグ板根本のヒシチューブと同じ色のコード(紫≒青、ということです…)が出ているところにネジ止めします。ドッグボーン配置では、下側の緑色コードが出ているところにネジ止めすることになります。

故障個所探索の途中で、電流制限抵抗を介さずに直接給電してしまい、LED(青)を焼いてしまいましたが、kingyoさんから頂いたボードから外したものが在庫していましたので、それを加工(表面をフラットに削り落とす)して復旧しました(こちらのほうが手間を喰いました)。ということで一応、修理完了です。

【進捗状況】SEPTA Kawasaki LRVの電装(5)


あけましておめでとうございます。SEPTA Kawasaki LRVの続きです。


上回りと下回りを組み合わせてテストします。前面のヘッドライトとサブウェイライトはデコーダからの電流で無事、点灯することが確認されました。あと、サブウェイライトの光が漏れていますので、アセテートテープを貼って遮光しておくことにします。


テールライトも、交互点滅回路を経由したデコーダからの電流で点灯することを確認しました。室内灯も点灯することを確認しています。全LEDの点灯が確認されましたので、車体へLED基板を取り付ける際、ダメージはなかった様です。


あと残るディテールは、ダミーの連結器を残すのみですが、これを付けると収納時に引っ掛かったり、箱内で前後に詰めるクッションで押されて外れそうです。床板の塗装を剥がして金属地肌を出し、変性シリコーン系接着剤でがっちり固定する必要がありそうです。

さて、この段階でNCEのPower Cabで試運転している最中に惰行設定が利き過ぎている様に感じ、コントローラーのMOMENTUMボタンを押してみると、どうもデコーダの設定を書き換えにいった様で、テールライトの設定がおかしくなってしまいました。うーん、これは1回、デコーダをリセットする必要がありそうです……