工作

【運転会始末】KATOの欧州型単車の調整


2月8日の運転会で、ATLASの4番ポイントを使用した片亘り線を久しぶりに使用したところ、KATOの欧州型単車がかなり引っかかることが気になりました。輪軸のバックトゥバックが狭めなのは、既に交換時に判っていましたので、この引っかかりを解消すべく検討・修正を試みました。

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まず念のため、ATLAS4番ポイントのフログ部分におけるスパンとチェックゲージを、NMRAゲージでチェックしてみます。写真の通りゲージはすんなりと収まり、線路側には問題ないことが解ります。

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続いて、輪軸をNMRAゲージでチェックします。写真の通り、バックトゥバックが狭いことが解ります。では、どのくらい狭いのか? どのくらい拡げればいいのか? を検討してみます。

輪軸を採寸しますと、バックトゥバックが14.2 mm、フランジ厚が0.75 mmでした。バックトゥバックの許容範囲は14.37~14.6 mmで目標値が14.55 mm (NMRA S-4.2)ですので、0.13~0.40 mm拡げればいい計算です。ということは丁度、手元に在庫している厚さ0.13 mmのポリスライダワッシャを2枚、両側の車軸と車輪の間に挟んで、バックトゥバックを14.46 mmに拡げれてやればよさそうです。

ここでもうひとつ考えなければならない寸法がチェックゲージです。規格では「the primary controlling dimension」とされ、重視されている寸法です。具体的には、バックトゥバックにフランジ厚を加えた寸法で、目標値は15.32 mm、許容範囲は15.14~15.37 mmと規定されています。

当初のチェックゲージは14.95 mmですから、狭いほうに逸脱しています。ワッシャを挟んで拡げると15.21 mm、目標値に比べてやや狭いですが許容範囲内です。また、軸距離が比較的長く、かつ、小半径を通過しなければならないことも考えますと、許容範囲下限ぎりぎりを狙うのが理想ですが、まぁ、広めになるよりはまし、ということでOKとしました。

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ということで、早速ワッシャをはめて修正した輪軸が上の写真です。NMRAゲージでチェックする限り、バックトゥバックとチェックゲージはクリアします。再組み立て後の試運転でも、引っかかりがなくなったことが確認されました。

実はMOROPのNEM310をみると、チェックゲージは15.1~15.3 mm、バックトゥバックは14.4~14.6 mmと規定されています。バックトゥバックが狭いのは、欧州規格だからかと思っていたのですが、そうではありませんでした。何でこんな寸法になっているんでしょうかねぇ…

いずれにしろ、これで無事に運転できることが明らかになりましたので、近いうちに、同じ輪軸を使っている「広電238」も修正しようと思っています。

【合運始末】ATLAS製スナップポイントの検討


平成26年関東合運において、ATLAS製スナップポイントは、ストックレールとトングレールの接触点の前後(凡そ2 mm程度)において、ゲージが広くなっていることが明らかになりました。

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NMRAゲージで測ってみますと、写真のように落ち込みます。ノギスで計ってみますと、ゲージは17.25 mm程になっています。

トングレール先端の厚さをゼロにすることは不可能なので、その影響を回避するために、1)ストックレールを削って凹みを作る、2)トングレール先端をレール面-フランジ高より下げる、という工夫があります。2つのうち、どちらかを行っていれば充分だと思われるのですが、このポイントには両方の工夫が適用されています。これが脱線等の原因になる様でしたら、舗装する前に何らかの手当てをせねばなりませんので、その辺りを考察してみました。

先ず、この程度のゲージの違いで輪軸が落ちるかどうかを検討してみます。

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図で示した通り、線路に対して輪軸がぎりぎりまで偏った状態が、最も落ち込みやすい状況です。ここでゲージが、輪軸のチェックゲージ+車輪厚を超えると落ち込んでしまいます。NMRAのS-4.2によれば、チェックゲージ(K)の下限は15.14 mm、車輪厚(N)の公称値が2.79 mmですので、ゲージが17.93 mmより広くなると落ち込んで脱線する場合があることになります。そのような場合でも、車輪はレールに0.5 mm以上掛っていますから、まぁ大丈夫ではなかろうか、と考えられます。実際のところ、BowserのPCCカーに使用されている輪軸のチェックゲージは15.3 mm、車輪厚は2.8 mmなので、更に余裕があるものと考えられます。

次に、果たして長さ2 mm程度の凹みに、輪軸が嵌り込むかどうかを検討してみます。

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路面電車等で使用される26’φ(HOで7.6 mmφ)で、フランジ高0.71 mmの車輪を考えると、図示の通り、フランジがレール面以下になっている長さは4.86 mmです。フランジ高0.71 mmというのは最大値なので、これを0.5 mmとしてみても、約4 mmがレール面以下になります。ということは、長さ2 mm程度の凹みに嵌り込むことはなさそうです。

ということで、じゃぁどれだけの厚さの車輪ならば落ちずに済むのか、を計算してみました。

凹んでいる箇所の直前のゲージは16.8 mmです。片側はフランジが凹みの前後に引っ掛かりますから、ゲージは実質的には(16.8+17.25)÷2≒17.03です。これからチェックゲージの最小値を引くと1.89… チェックゲージが合致していれば、ここはかなり薄い車輪でも大丈夫でしょう。ちなみに、NMRA Standards Gageで、車輪チェック用スリット(入ってはいけない)の幅を計ってみると、2.7 mmでした。

最後にNMRA規格をもう一度眺めてみました。

S-3.2では、確かにゲージは16.49~16.79 mmとなっています。しかし、S-1.2をみてみると、ゲージは16.50~17.07です。おまけに、S-3.2には「Gage at Frog」での値、S-1では、ゲージは「a length of track」でのレール頭部間の距離とあります。「a length of track」がどの程度なのかが問題なのですが、2番目の検討の通り、フランジがレール面以下になる長さは意外と長いので、2 mm程度の間、少々凹んで、ゲージが拡がっていることは問題にはなりそうもありません。大体、何処でも規格通りのレール頭部間隔を維持しなければならないのであれば、直交クロスはフランジウェイを越える部分(フランジウェイの最大幅は1.27 mmです)で規格を満たしていないことになります。直交クロスだとこの位で済みますが、4番ポイントだとこの長さは5 mmm以上になります。そういった問題をクリアするためにも、規格的には「a lenth of track」になっているのでしょう。

ということで、実用上問題ない範囲と判断しましたので、先の工作会のレポートにありました通り、特に修正はせず、舗装工事に入っております。

本稿を記すにあたり、ddx40氏Kiyo Inaba氏ワークスK氏のblogやwebページを参考にさせて頂くと同時に、多大な知見を頂きました。厚く御礼申し上げます。

【工作会】築地2014年忘年工作会


12月20日に、中央区立築地社会教育会館において、工作会を開催しました。
昨年は運転会を開催したのですが、その後の忘年会の際、余りの荷物の多さに難儀しましたので、今回は工作会ということにしました。

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私のプロジェクトです。「合同始末」にも書きました、標準ホイホイからの車庫分岐の舗装です。標準ホイホイで線路を構成する場合、使用頻度が高そうですので、優先して舗装することにしました。

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Sさんのプロジェクトです。16番のペーパー車体の製作中です。これだけでは何を製作中なのか皆目不明ですので、「乞うご期待」というところです。

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途中で中座したり、材料の買い出しに行ったりで捗りませんでしたが、とりあえず下層の2 mmスチレンボードは貼り終えることができました。現物合わせで切り出すしかない、ポイント分岐側外側の部分を完了できたので、あとは家でぼちぼちやっていこうと思います。

工作会終了後は月島へ移動し、恒例通り、もんじゃ焼きで忘年会を開催しました。

【線路工作】合運準備


本日は、第14回関東合運までの、最後の休日となりました。ですので、合運に向けての最終整備を実施しました。
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ループ線を、取り敢えず見られる程度にまで舗装しました。レール間の敷石は、通常の複線カーブと同じ状態にまでしてあります。
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今回、仮設線路の複線間隔をしっかり保持する必要があるところが出来てしまいました。ということで、複線間隔を50 mmに規制すべく、下敷き用の9 mm厚べニアに角材(2×8 mmと2×2 mm)を貼ってみました。目分量と実物合わせでやりましたので、べニア板の端とはちょっと平行が狂ってしまいましたが、実用上差支えありません。
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長い距離の通電に、KATOの延長コード(24-825)を何本も連結するのは感心できませんので、在庫していた一回り太い、同配色のコード両端に、遊休品のKATO純正コネクタを取り付けた延長コードを作りました。ついでに、分岐コネクター(24-827)のコードも、太いものに交換しました。作業には、一緒に写っている。(株)エンジニア製汎用ピン抜き工具(SS-31)を使いました。これまでは、糸鋸の歯を使って、四苦八苦してコネクタ内部のピンを抜いていましたが、これを使うと一瞬で取り外せますので、「時間を買う」と考えれば廉いと思います。

(多分、ちょっと廉価なPAS-31でも大丈夫な筈ですが… 在庫切れでした…)

【新車?出場】Dockside


長年、懸案となっていた仕掛品を、運転できるまでに仕上げました。
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プロトタイプはB&O鉄道のC-16です。本来の棲家は、深夜の併用軌道でしたから(実車で7フィートという、ボギー台車並の軸距がそれを象徴しています)、まぁ、仲間に入れてもいいのではないかと思っています。
はじめはBowserの最終製品だったのですが、ひょんなことから入手したVarneyのダイキャスト版の重量に魅かれ、上回りとシリンダーブロックを振り替えました。更に、別売されていたバルブギアーと、スーパーディテールセットの一部を取り付けてあります。あと、弊社では本線運用にも就く、ということで、マーカーライトも増設しました。
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さてこのモデル、キャブ下のエアタンクがぺったんこだったり、妻前面窓がなかったりと、ディテール的にも少々怪しいところがあります(実は米国HO初のスケールモデルですから、仕方ないといえば仕方ありません)。真面目にB&Oの塗装にする知識もありませんので、Komar Dry Transfersのデカールを使って、我々世代には憧れだった、John Allen氏の、Gorre and Daphetid Railroadのコスプレをさせてみました。サン・フランシスコのFラインでは、PCCが全米各都市で走っていた同類のコスプレをやっていますから、それに倣った訳です。
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走行用デコーダはLenzのGold+、サウンドデコーダはMRCのSOUNDER(1908)を搭載しています。動輪固定のBタンクですので、集電不良の影響をできるだけ軽減しようと、GOLDにPOWER-1を付加しています。GOLD+デコーダも当初、JSTソケット付のものを入れようとしていたのですが、無理矢理入れたため動作がなかなか安定せず、苦労しました。どうも無理に入れたため、基板上の回路にへアクラックでも入った様で、最終的には動作不良となってしまいましたので、JSTソケットなしのものと交換しました。というか、JSTソケット付きを修理に出したら何故かソケットなしが交換で戻ってきたので、試したみたところ、前より余裕をもって入ったので、そのまま使ってしまった、というのが真相です。また、着手から完成まで長時間かかってしまったので、SOUNDERも1665から1908にアップグレードしました。
もうひとつ苦労したのが、POWER-1の設定です。マニュアルでは、電源供給停止からの動作時間をCV112で設定することになっているのですが、これはCV122が正しい様です。
まだまだマーカーライトにMVレンズを入れたり、ロッドにネオリューブを塗ったりしなければなりませんが、それらは分解せずに実施できるので、とりあえず御披露目です。