江東電気軌道(KDK)

都電のお話3

都電荒川線の動向です。


大塚駅前で、併用軌道のレールが交換されました。旧レールの断面をみると、ガードレールのフランジウェイ側がかなり摩耗しています。ということは、車輪の裏側と結構接触しているということでしょうか…


JR大塚駅南口側の公園外側の部分は舗装されて、併用軌道に戻りました。


JR大塚駅北口側における、「大塚ビル」の解体は終了しました。昭和12年(1938年)竣工、平成29年(2017年)解体ですから、79年使われたことになります。お疲れ様でした。

【運転会】開催しました

2月18日に、ほっとプラザ晴海にて、運転会を開催しました。


今回の線路配置です。昨年同様、250R複線ホイホイのエンドレスに、ユニトラックで仮設した小ヤードという、いつも通りの構成です。二月運転会は、多少の拡縮はありますが、この配置が定番になってしまいました。今回は昨年とは反対に、エンドレス部分を、ぎりぎり最小限の配置としてみました。具体的には、曲線部分は各々250R複線ホイホイ×2で、間に直線は挟んでいません(=曲線半径を縮小しない限り、これが最小)。直線部分は450 mmLの左片亘りと350 mmLの(ヤードへの)左分岐です。これ以上の直線部分縮小は、1)片亘りを350 mmLに縮小するか、2)ヤードへの分岐を止めるか。しかありません。片亘りの廃止は、内外の連絡を絶つことになりますから、あり得ないと考えます。ヤードへの分岐の廃止も、本線上で車輛をレール上に載せる作業をせねばならなくなることを考えると頂けません。ということで、(あと100 mm、直線部を縮小できる可能性はあるものの、)これが略最小配置、ということになります。


並行して、現在製作中のリバースループの試運転をやってみました。昨晩、配線作業を完成させたばかりですが、本格的に固定する前に車輛通過に問題がないかを確認しました。NMRA  S-4.2に従った輪軸と、それよりやや薄い車輪を使ったカツミ製輪軸ならば、問題なく通過できることが確認できました。但し、カーブで一箇所、急なところがありましたので、そこを修正しつつ本格的に固定していくことにします。

さて、本線側のDCC給電域(DCC District)にこのユニットを繋いていたのですが、ヤード側に給電すると、何故か内蔵のFrog Juicerからハム音がします。色々調べてみますと、両給電域の境界において、片方の絶縁ジョイナーが導通状態になっていました。ユニトラック端部からレールの端部上端が僅かに突出していたため、接触・通電していたようです。加工していない、ユニトラック同士の接続だったのですが、こんなこともあるので、運転会にはレールを0.5 mm程削って短くできるような、小型のヤスリを持っていくべきかと思いました。ちなみに、組み合わせを変えて、きちんと両側絶縁にすると、ハム音は消えました。これが今回の、新たなるノウハウです。


今回は卓上のホイホイと並行して、フロアでY氏の日比谷線コレクションの虫干しが実施されました。18 m車の4連と、お手頃な編成でまとまるのがある意味、模型的だと感じました。

【線路工作】進捗状況ほか

プロジェクト進捗状況です。

1.ループ線


ようやっと、線路を全部敷設しました。このプロジェクトは、クロス自作というチャレンジを実施していますので、思いがけないトラブルが発生する可能性があります。ですから、線路は全て「仮止め」状態です。今後、配線を済ませて運転会に持ち込み、色々な車輛でテストしてみてから、本格的にスパイクで固定する計画です。本格的に固定するまでは、裏面にスパイクが突出したままですので、怪我に注意する必要があります。


裏面の現状です。レールからフィーダーを引き出し、中継点となるプリント基板片にハンダ付けしました。コードはAWG 24の太さのものを使っています。現在、Kingyoさんから譲って頂いたDual Frog Juicerと、並行-対行切替用のラグ板(これもKingyoさんの「手法」です)をどこに置くかを検討中です。


並行-対行切替用のラグ板を試作してみました。ラグ板の金具にM2のタップを立て、そこにR型の裸圧着端子をネジ止めします。ラグ板はサトーパーツのL-3522-6P、圧着端子はニチフのR 0.3-2、ネジはM2×4 mmの黄銅ナベねじです。薄い端子にネジを切ることになるのですが、しっかりとしたネジを切ることができました。多回路の接続替えには、ピンヘッダとジャンパーピンを使ったこれまでの手法より向いていそうです。

2.複線右分岐の再生

進捗なしです。

都電のポイント

一般的に、分岐器のフログが鋳造であれば、接続するレールの太さや角度の情報が陽刻されています。で、良く観察してみると、路面電車用のフログにも同様の情報が記されています。


大塚駅前の亘り線の例です。「50-13°」と記されていますので、「50kgレール用で、分岐角13°」という意味かと思われます。そこで、荒川線全線でどのようなフログが使われているのか、昨年第四四半期に踏査してみました。


これが結果一覧です。各所で、普通レールからの組立式になっているのが目につきます。これは最近、NC加工技術の進歩で、路面電車の分岐器が、鋳物から組立式へ移行しているからでしょう(RRR Vol.70 No.12.)。サイディングという表記が適当かどうかは不明ですが、前後逆にすれば同じなので、そう表現してみました。


図面番号は、分岐器の銘板に記載されていました。これは三ノ輪橋の例で、RT50NM#5と読めます。おそらく、(“M”の意味がちょっと不明ですが…)「Right Turnout 50Nレール #5」という意味かと思います。13°という角度は番数で、4.39番に相当します。ということで、荒川線の本線では4~5番相当のフログが使用されていることが判りました。例外的に、荒川車庫への分岐がこれらより急ですが、既に組立式に更新されていますので、フログから番数や角度を知ることはできませんでした。銘板もあったのですが、汚れで判読不能でした。幸い、「風雅松本亭」さんのwebページで、ここの上から5番目の荒川線分岐器のフログと、ここの上から5番目のフログは同じものの様にみえますので、それが正しいとすれば、「20°59’」という角度になります。番数では2.70番に相当します。


これが組立式フログを使った分岐器です。鋳物時代の写真は、ここにあります。先人達は、鋳造ポイントの再現に色々と苦労されていました(二井林(1967).トロリーラインのレイアウト.レイアウト全書 p101-125.、ダブルクロッシングとポイントの自作)が、これならばレールのみを材料にして製作できそうです。

参考までに、これら組立式フログを使った分岐器のメーカーwebサイトを記しておきます。ここの製品情報→特殊分岐器の項には、参考となる情報が色々と掲載されています。

【線路工作】2018進行中プロジェクト

2018年を迎え、昨年から実施しているプロジェクトを整理しておきたいと思います。

1.ループ線


一昨年からのプロジェクトです。ボードを罫書いて切り出したところで、全体をp形からq形に反転させることにしたりで、色々寄り道をしているプロジェクトですが、ここまで出来ました。あとは配線して、欠けている部分に軌框を敷設すれば運転できるでしょう。そこまで進めば運転会で使ってみて、不具合がないか、実地検証する段階になります。舗装は運転会で使ってみて、問題ないことを確認してから施工する計画です。

2.複線右分岐の再生


Kingyoさんから譲って頂いた、旧い複線右分岐の再生です。新規ボード上への移設作業を進めていましたが、ようやっと移設することが出来ました。線路の固定に使用されている多数の「ネジ」を通す孔を、どうやって新しいボードに写すか、が問題だったのですが、舗装を撤去してみると、植え込みネジではなくて皿ネジだったので、難なく解決してしまいました(表面からネジ孔にシャープペンシルを突っ込み、孔の周囲に罫書をすれば実用上OKでした)。


前報で書きました、「ポイント前端レールの約5 mm延長」も無事完了しました。考えた通り、基板から直ぐの場所で、篠原製#60レール用ジョイナーで接続、ハンダ付けしてあります。

譲って頂くときにKingyoさんとの間で話題になった件として、「片トングのポイントで、カーブ外側にトングレールが位置している」ことがありました(通常は内側)。色々悩んだのですが、「Paul & Steven Mallery(2008). Tration handbook for model railroads.」に、”The tongue tended to be placed in the inner rail of the curved route as shown on the left of Fig.13 but could also be on the outer rail as on the right. Both locations were also be on the same system, foe example, in 1974 in downtown Pittsburgh.”(要約:トングレールはカーブの内側に位置する傾向があるが、外側にあることもある。どちらの位置もまた、同一路線上に存在することもある)という記述を発見したため、「なぁんだぁ…」ということで、そのままいくことにしました。
しかしこの本、1974年にVane Jonesから、1992年に2-10-4 Publicationsから、そして2008年にCarstensから出版されたことになっています。うーん、中々のものだと思います。

今年はこれら2つのプロジェクトを、運転できるとことまでは仕上げたいと考えています。