工作

枕木考(3)


ハンドレイで線路を作るにあたって必要な模型寸法も、とりあえず求めることが出来ましたので、材料を集めていくことにします。

1.枕木材料


徒歩圏内の模型店で、Kappler Mill & Lumber Companyというところが発売しているHO用枕木が在庫していました。長さは28 mm(実寸8′)か29.75 mm(実寸8’6″)がありましたが、どちらにせよ切り詰める必要があります。ということで、分岐器を作ることも考えて、長さ52 mm(実寸16′)の分岐器用枕木を買ってきました。断面は7″×9″の標準断面のものです。
スケールを追及するとなりますと、2 mm厚の木板を2.3 mm幅に切り出し、24.1 mm長に切るしかありません。しかし、KATO UNITRACKのジョイント部を接続に使用するという前提がありますので、枕木は幅を切り詰めたジョイント部のそれ(長さ24.20~.35 mm、幅2.8 mm)と著しく異なっていては違和感が生じます。実際のところ、幅9″の枕木は日本でも使用されたことがありますので(ちなみに長さは7′)、そんなにおかしな寸法ではないと考えています。
Micro Engineering製の微小スパイクの在庫もあったので、枕木と共に購入してきました。いつもはシノハラ製HOn3用スパイクの頭を小さく切って使用しているのですが、これはどんなものでしょうか……

2.切断治具


さて、枕木を切り詰めるにあたって、いちいち長さを計って罫書いていては手間がかかって仕方がありません。ということで、治具を作って切ることにします。先達のkingyoさんは、ありあわせの木片で材料を上下から挟み込む治具を作り、2/0の糸鋸で切断されていました。私は、ホイホイの台枠を作った時に出た4 mm厚べニアの廃材から写真の様な治具を作り、ナイフで押し切ってみようと考えました。この場合、刃が両刃ですと残す方向へも力が加わるので不味い気がします。ということで、売り場を色々見ていると、X-ACTOナイフのNo.18ブレードが片刃でしたので買ってきました。純正の柄は入手できなかったので、良く似たサードパーティー製の柄を購入しました。幸い、ブレードは付きましたが、形状寸法がほぼ同じということは、何か規格があるんでしょうかねぇ……

3.配置方法


ハンドレイで線路を作る際には、枕木を正しい位置に揃えて並べなければなりません。これもいちいち寸法を計りつつ罫書くのは避けたいものです。そこで、図のような配置図を作り、上から針で突いて位置を出そうと思います。225 mm長の枕木配置ですが、上はレール継ぎ目を左右に分けたもの、下は継ぎ目を中央にしたものです。両方描いてみましたが、レール継ぎ目を中央にしたほうが、幅を切り詰めたジョイント部(長さ25.1 mm)にモールドされている枕木と間隔が馴染みますので、その様に配置したいと思います。

ユニトラ接続部の改軌(試作)


ベースボードの接続には、標準ホイホイと同様に、ユニトラックの接続部を利用する計画です。ユニジョイナーを使用する道床付き組線路はTILLIGのTT用があり、これをベースボードの接続部に利用した例が鉄道模型趣味誌958号 (2021-11)に掲載されています。ということで、これを利用することも考えましたが、この線路の枕木長は21.4 mm、枕木幅は1.6 mmと、前に述べた3.5 mmスケール寸法とはかなり異なっています(HOm用と銘打った製品もあるのですが、プラ成型はTT用と同じです)。KATOのHOユニトラックを改軌して12 mmゲージにすれば、枕木長や枕木幅はかなりスケールに近くできます。ということで、果たして実用となる強度で切り継ぎが出来るものなのか、試作してみました。


改軌にとりかかる前に、1 mm厚真鍮板とKATOのHOユニトラックに使用されているレールを使って、道床改軌用の治具を作りました。ゲージは前に作ったトラックゲージと同じく、TILLIGのTT用道床付き組線路に揃えました。これに左右分割されたユニトラ接続部を嵌め、中央部を接着してやろうという考えです。


治具作りと並行して、接着剤もテストしてみました。左は従来から使用してきた、セメダイン社のABS用接着剤で、既にユニトラックの道床短縮で実績があります。しかし樹脂が含有されていて粘度が高く、ぴったりと接触した部分に流し込んで接着するには不適当のようにも思われます。ここは是非とも樹脂を含まない、流し込みタイプの接着剤が欲しいと考え、手持ちのものを試してみることにしました。中央は武藤商事製のプラリペアに付属している混合用リキッド(主成分:メチルメタクリレート)で、接着剤ではありませんが、手元にあったのでテストしてみました。左はTAMIYA製のタミヤセメント(流し込みタイプ)で、主成分は酢酸ブチル、アセトンです。テストピース(手前)で実験した結果、どちらも強力な接着力を示しました。GSIクレオス社のMr.セメント・リモネン系(流し込みタイプ)(主成分:D-リモネン)も試してみましたが、こちらは無効でした。


ということで、とりあえず寸法を罫書いて糸ノコ(一部は既に丸鋸で切断済み)で切断、ヤスリで寸法を仕上げて道床改軌用治具にTILLIGのTT用組線路接続部と共に填め込み、プラリペア混合用リキッドを継ぎ目に流し込んでみました。ヤスリ仕上げがいまいちで、毛筋程の隙間が空いてしまったので、駄目ならプラリペアで隙間を埋めようと考えたのですが、可能ならば同じ材質で継いだほうがいいだろうということで、ヤスリ仕上げで発生したヤスリ屑を隙間に押し込み、混合用リキッドを流したところ、隙間も埋まってがっちりと接着することが出来ました。乾燥後、試しにひねってみましたが、実用上充分な強度は確保された様です。強度に不安が出れば、下側に0.3 mm厚ABS板を貼る計画でしたが、その必要はなさそうです。

今後は、如何に手数をかけずにこの改軌工程を進めるか、を考えなくてはなりません。量産試作、というところでしょうか……

枕木考(2)


ハンドレイでは、枕木の大きさや配置も考える必要がありますので、まず実例を探りました。今度はそれを、模型寸法に落とし込んでいきます。

1.枕木単体

長さ(mm) 幅(mm) 厚さ(mm)
実物寸法 2100 200 140
3.5 mmスケール寸法 24.1 2.3 1.6
FAST TRACKS HO枕木 29.7 2.5 2.0
FAST TRACKS HOn3枕木 24.4 2.0 1.5
IMON HO1067線路 24.0 2.35
KATO UNITRACK 28.9 2.85

実寸と3.5 mmスケール(1 foot=304.8 mmを3.5 mmに縮小する)寸法、それと手近で参考にできる模型の寸法を列挙してみました。ちなみにkinkyoさんは、30×3×2 mmとされていましたが、3.5 mmスケールではちょっと幅が広すぎます。2 mmという厚さは、KATO UNITRACKのジョイント部を接続に使用する前提では動かせません。ということで、HO用の枕木の長さを切り詰めて使用するのが適当との結論に至りました。長さですが、ユニトラックを改軌すると枕木長は28.9-(16.5-12.0)=24.4となりますので、それに合わせて24.4 mmにすることにしました。スケールでは24.1 mmですので、まぁ許容範囲かと思います。

実際のところ、実物では枕木の巾は一定ではなく、分岐器に使用される分岐枕木では230 mm幅、支え継目に使用される継目枕木では300 mm幅となっています。また、橋梁用枕木の幅は200 mmですが、長さと厚さが大きくなっていますので、この辺は鉄橋を作ることがあった場合には気をつけたいと思います。

ついでに、米国製品の枕木断面ですが、複数メーカーのwebサイトを参照しますと、いずれの実寸も標準軌用は9″×7″、3フィートナロー用は7″×5″となっていました。製品寸法もこれを意識している様です。だから模型寸法を明記していないメーカーがあるんですねぇ……

2.枕木配置


kinkyoさんは、直線を7.5 mm間隔曲線をROCO製250Rと同じに配置されていましたが、今回はスケール寸法を0.5 mm単位に丸めて配置してみることにしました。上図が割り出した寸法です。先に書いた通り、直線でのレール端枕木とその次の枕木との間隔は380 mmですが、撤去図面を再度検討しますと、曲線でのそれは520~540 mm程度となっています。そこでこの部分は直線での4.5 mm間隔ではなく、6.25 mm間隔とすることにします。

或る計画(2)


以前書いた、1/87,12 mmの運転ボード(12 mmホイホイ)を作ろうという計画ですが、12月の忘年工作会で手を付け始めた後の進捗状況です。


180 mmRの罫書きをするには、それに合ったテンプレートが必要なのですが、以前「都電ホイホイ」を作った際のテンプレートを発掘することが出来ましたので、それで線路中心線を罫書きました。「都電ホイホイ」の際は、枕木外縁を基準に軌框をスパイクしましたので、195 mmRでも同心円状に罫書きを入れましたが、今回はフレキを使わない計画ですので、中心線のみを入れました。申し遅れましたが、べニア板の不足分は購入し、エンドレス1周分の罫書きを完了させております。


錆を落としたり切断したりと弄って来たトラックゲージですが、下に写っているTilligのTT用組線路に合わせてハンダ付けして、12 mm用のトラックゲージに仕立てました。錆を落としてからちょっと時間が経過した結果、また発錆が認められましたので、ハンダ付けの前にもう一回、「サンポール」で錆び落としをした後、100Wのコテでハンダ付けしました。さて、ちょっとの時間経過で再発錆したということは、防錆のメッキが機能していないということですので、「サンポール」と使用済単三マンガン乾電池から取り出した亜鉛板を使って、簡易的な亜鉛メッキを施しました。写真で色が白っぽくなっているのはその所為です。


忘年工作会で切り出したトラックゲージの仕上げですが、片方のフランジウェイ幅を削り過ぎました。もう片方は大丈夫なので、何とか使えないことはないのですが、方向性が生じてしまうのと、スパンの良否判定が出来ないのは面白くありません。これについては作り直し、ですね。ノギスに頼り過ぎて、測定誤差を見逃してしまったのが敗因です。

ということで、一般的な軌間でないと、基準となるゲージから作らねばならず、甚だ手間がかかるということを実感している今日このごろであります。

【進捗状況】SEPTA Kawasaki LRVの電装(5)


あけましておめでとうございます。SEPTA Kawasaki LRVの続きです。


上回りと下回りを組み合わせてテストします。前面のヘッドライトとサブウェイライトはデコーダからの電流で無事、点灯することが確認されました。あと、サブウェイライトの光が漏れていますので、アセテートテープを貼って遮光しておくことにします。


テールライトも、交互点滅回路を経由したデコーダからの電流で点灯することを確認しました。室内灯も点灯することを確認しています。全LEDの点灯が確認されましたので、車体へLED基板を取り付ける際、ダメージはなかった様です。


あと残るディテールは、ダミーの連結器を残すのみですが、これを付けると収納時に引っ掛かったり、箱内で前後に詰めるクッションで押されて外れそうです。床板の塗装を剥がして金属地肌を出し、変性シリコーン系接着剤でがっちり固定する必要がありそうです。

さて、この段階でNCEのPower Cabで試運転している最中に惰行設定が利き過ぎている様に感じ、コントローラーのMOMENTUMボタンを押してみると、どうもデコーダの設定を書き換えにいった様で、テールライトの設定がおかしくなってしまいました。うーん、これは1回、デコーダをリセットする必要がありそうです……