車両

【2015合運始末】MSR952の修理&入線整備


昨年購入したMSR952号車ですが、給脂済みであることをいいことにして、恒例の入線整備もせずに運転会で走らせていました。

2015関東合運でも走らせたのですが、今ひとつ不調です。「新規動力だから、未だこなれていないのかなぁ…」と思っていたのですが、調べてみると、非動力台車右側の車輪からの集電がなされていませんでした。「これはいけない。」ということで、その修理のついでに入線整備を済ませました。

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ボディを外してみました。見難いですが、台車からのリード線が断線しています。あと、プリント基板に残ったフラックスが白粉を吹いていたり、ポール基部ブッシュが真鍮挽物のままというのも気になります。

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リード線は、台車との接続端子部で断線していました。更にリード線自体を観察してみると、途中で被覆が破れ、中の導線が剥き出しになっています。リード線は意外と細く、最大で0.2 A程度(Power Cabで測定)ならば、この程度でいいんだと、認識を新たにしました。これから察するに、最終組立でシャーシーと車体の間にリード線が挟まってしまい、台車が回転した際に余裕がなくて引っ張られ、断線したものと推察されます。

しかし、リード線の被覆が途中で剥けていると、思わぬショートが心配です。被覆にヒートシュリンクチューブを被せたり、接着剤や塗料を塗って絶縁するのは、リード線の柔軟性を損ね、曲線通過に支障をきたす可能性があります。ということは、何か適当な電線で交換する必要があるということです。

ということで、S社、I社から細めの電線を買ってきました。実際に比較してみると、S社の「プラグコードφ0.38 mm」と称する電線はちょっと細過ぎるように感じましたので、I社の「耐熱リード線」で置換しました。これで無事、修理完了です。

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あとは入線整備ということで、プリント基板に残ったフラックスと白粉をアルコールで払ったり、ポール基部ブッシュを黒染したり、ポール基部に1.2 mm真鍮角線を2 mm長に切って挟み、ポールの上昇角度を抑制したりして、無事、竣工です。

上の写真で後ろにチラっと写っているのが、PCCカーのポールで、これは基部に0.5 mm真鍮角線を挟んで、上昇角を抑制しています。同一線路上でポールの高さが異なるのは不合理なので、大体のところで揃うように真鍮角線の太さを選定しました。

【DCC】Birneyのデコーダ交換


Birney Safety Carは好みの車輛でして、弊社にもFomras製のブラス製品(未塗装)と、Bachmann製のプラ完成品が在籍しています。当然、これらを運転会で走らせたいのですが、当グループで運転するにはDCC化する必要があります。しかし、最初に入手したFomras製品は、モーターのアースが、モーターハウジングから床板・台車経由で結線されていて、DCC化が中々難しい構造になっているため、未だにDCC化されていません。Bachmann製品はデコーダ搭載済みで販売されていますが、四輪固定のために集電性能が劣悪で、ぎくしゃくとした走りで気に入りません。

スムーズな運転には、集電不良による瞬断の影響を回避しなければなりません。それを実現してくれるのが、Docksideに搭載したLenzのPower-1ですが、同等の機能を組み込んだデコーダがTrain Control Systemsから発売されていますので、デコーダの交換を試みてみました。

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Bachmann製のBirney Safety Carは、マニュアルにある通り、屋根を外すことによって、ボディを外すことなく簡単にデコーダにアクセスできます。写真で写っているのは製品のままのデコーダで、NMRA規格の8ピンプラグを介して接続されています。PCBボードの開口部は、このデコーダを出し入れするには充分な大きさですが、交換するデコーダにはやや小さかったので、PCBボードを一旦外して交換することにしました。また、このデコーダは、直下にある梁(マニュアルの00F03)で中空に支持されているのですが、デコーダが大きくなりますので、これも外すことになります。

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これが交換したTCS製KAT22デコーダです。後ろに写っているマニュアルにある通り、電源が失われても3-15秒の走行が可能と謳われています。Lenzでは最大設定でも4秒ですから(あくまでも設定上のお話で、消費電流0.25 Aだと1秒しか保ないとか、心細いことも書かれています)、かなりの効果が期待されます。写真は、Docksideに載っけたLenz製Gold+MPデコーダから外したプラグを半田付けしたハーネスを取り付けた状態です。

実は、同じシリーズの製品に、KAT12というのもありまして、こちらは電源が失われても2-5秒走行可能と謳われていますが、価格、公称寸法いずれも同じでしたので、両者購入して比較してみました。すると、写真にある通り、KAT22では、文字の下側が膨れていますが、KAT12ではその膨らみがなく、やや薄い様です。価格は変わりませんから(MSRPも同じです)、スペースが許すのであれば、KAT22を使うのが宜しい様に思えます。

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デコーダ交換後、横から透かした写真です。オリジナルでは向こうが透けていたのですが、デコーダが存在を主張する様になりました。

で、肝心の無電区間での挙動ですが、KATOの246 mm長フィーダー付直線と369 mm長直線を絶縁ジョイナーで結んで、充分充電した後にスピードステップ12/127(全速127ステップの設定で12、という意味です)で、369 mm長直線をスピードを落とさず走り切って向こう側へ飛び出しました。スローも物凄く安定する様になり、お気に入りの一台になりそうです。

そういえば、某所で投げ売り(KAT22デコーダを足しても定価より廉い…)されていますので、もう何輌か入手して加工するのも面白そうです。

【運転会始末】KATOの欧州型単車の調整


2月8日の運転会で、ATLASの4番ポイントを使用した片亘り線を久しぶりに使用したところ、KATOの欧州型単車がかなり引っかかることが気になりました。輪軸のバックトゥバックが狭めなのは、既に交換時に判っていましたので、この引っかかりを解消すべく検討・修正を試みました。

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まず念のため、ATLAS4番ポイントのフログ部分におけるスパンとチェックゲージを、NMRAゲージでチェックしてみます。写真の通りゲージはすんなりと収まり、線路側には問題ないことが解ります。

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続いて、輪軸をNMRAゲージでチェックします。写真の通り、バックトゥバックが狭いことが解ります。では、どのくらい狭いのか? どのくらい拡げればいいのか? を検討してみます。

輪軸を採寸しますと、バックトゥバックが14.2 mm、フランジ厚が0.75 mmでした。バックトゥバックの許容範囲は14.37~14.6 mmで目標値が14.55 mm (NMRA S-4.2)ですので、0.13~0.40 mm拡げればいい計算です。ということは丁度、手元に在庫している厚さ0.13 mmのポリスライダワッシャを2枚、両側の車軸と車輪の間に挟んで、バックトゥバックを14.46 mmに拡げれてやればよさそうです。

ここでもうひとつ考えなければならない寸法がチェックゲージです。規格では「the primary controlling dimension」とされ、重視されている寸法です。具体的には、バックトゥバックにフランジ厚を加えた寸法で、目標値は15.32 mm、許容範囲は15.14~15.37 mmと規定されています。

当初のチェックゲージは14.95 mmですから、狭いほうに逸脱しています。ワッシャを挟んで拡げると15.21 mm、目標値に比べてやや狭いですが許容範囲内です。また、軸距離が比較的長く、かつ、小半径を通過しなければならないことも考えますと、許容範囲下限ぎりぎりを狙うのが理想ですが、まぁ、広めになるよりはまし、ということでOKとしました。

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ということで、早速ワッシャをはめて修正した輪軸が上の写真です。NMRAゲージでチェックする限り、バックトゥバックとチェックゲージはクリアします。再組み立て後の試運転でも、引っかかりがなくなったことが確認されました。

実はMOROPのNEM310をみると、チェックゲージは15.1~15.3 mm、バックトゥバックは14.4~14.6 mmと規定されています。バックトゥバックが狭いのは、欧州規格だからかと思っていたのですが、そうではありませんでした。何でこんな寸法になっているんでしょうかねぇ…

いずれにしろ、これで無事に運転できることが明らかになりましたので、近いうちに、同じ輪軸を使っている「広電238」も修正しようと思っています。

【新車購入】MSR952


Bowserから発売された、Market Street Railwayの952号車を購入しました。
Market Street Railwayでは「?」という方もおられるかと思いますが、PCCカーをSan Francisco MUNIのF Lineで運用しているNPOです。

元々は、Louisiana州のNew Orleans市を走っていた電車ですが、紆余曲折の末、現在は、Market Street RailwayのHistoric Streetcarsの一員となっています。
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実はこの製品、一昨年に予告されていまして、その時点でウィスコンシン州のお店に予約を入れてありました。それから二年が経過し、どうも発売された様子なのですが、物が来ません。挙句の果てには、それ以後に発表されて予約したPCCカーが来る始末です。「これはおかしい…」ということで、改めてメリーランド州のお店に「残1輌」で在庫していたものを注文し、入手したものです。
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未だ、色々と弄ってはいませんが、サウンドデコーダがSoundtraxxのTsunamiから、ESUのLoksoundになっています(この直後に発売されたPCCカーも同様です)。また、架線集電/レール集電の切替スイッチが床下に移動したり(以前は車内のプリント基板上にスイッチがあり、分解しなければ切替られませんでした)、給油済みになっていたりと、また一世代進化したなぁ… という印象です。この辺は、この後発売された、Loksound搭載のPCCカーも同様です。
あと、気付いた点としては、ポールの上昇バネが弱くなっています。従来は架線集電を考えたのか、かなり強い上昇力で、下げてポールフックに掛けておくと、竿が曲がりかねない、フックが飛びかねない、といった不安がありましたが、これで解消されました。でも、架線集電で運転する事例が多い本国のファンにはどの様に受け止められているのでしょうか…

【車輛工作】スピーカー換装


弊社では、以前紹介したBowserのFラインPCCカーの初期製品に、TCS社のM4Tと、Digitrax社のSFX004を搭載してDCCサウンド仕様にしてあります。
スピーカーには、東京ラジオデパートで購入した、直径9 mm程のものを使っていたのですが、音が小さいのが悩みの種でした。
先日、Sugar Cubeというスピーカーが優れものということを聞きましたので、交換してみました。

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これが使用したSugar Cubeです。熊田貿易で購入しました。スペックは以下の通りです。

15x11mm, 11mm tall
8 ohm
1 Watts
Sound Chamber Included
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スピーカー本体とケースは、セメダイン・スーパーXで固定しました。リード線は写真のようにハンダ付けして、アセテートテープで押さえました。金属地肌が露出している部分は、目立たない様にタミヤのXF1(艶消し黒)で塗り潰しました。
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最終的に、運転席の横、前側乗車ドアの内側に、両面テープで固定して搭載しました。音は充分大きく、満足する結果が得られました。