プロトタイプ例

富山市の路面電車


ちょっと頼まれ仕事で、富山に行ってきました。早朝からの仕事でしたので、前日が移動日となりました。そこで、移動日は早朝に移動し、富山市内の路面電車を一日、堪能してきました。(その割には、移動日に撮った写真は殆どここにはアップしていなのですが…)

実は、8月上旬に、ほぼ20年振りに夏のツーリングを実施し、富山・高岡に行ってきました。高岡駅前のホテルに宿泊したのが運の尽きでした。計画では、午前中は万葉線、午後は地鉄軌道線と富山ライトレールに費やす計画でしたが、万葉線が面白過ぎて富山まで回れませんでした。運よく、そのリベンジが果たせました。


地鉄軌道線では現在、3系等全てが富山駅で折り返しになります。3系統環状線も例外ではありません[つまり、環状線(セントラム)は、一周ごとに前後が入れ替わります]。ということで、富山駅前の交差点では、大学前方面行きと南富山駅前方面行きが同一方向に出発することがある訳です(これが別系統とは限らないところがまた悩ましい…)。その対応として、富山駅からの出発線は、交差点かなり手前で大学前方面と南富山駅前方面に分岐し、交差点近傍ではさながら三線並列の態をなし、赤信号で二車並列、青信号で二車同時発車という、珍しい光景が展開されます。左側の車輌は、昭和50年代の塗色を今に伝える7018です。あとは7017、7020、7021が8000型と同じ塗装で、あんどん式の広告を掲出して活躍していました。その他には7022がイベント用でしょうか? レトロ電車という触れ込みで、観光電車ということで、車内にテーブルか設置されたりしつつ、通常ダイヤで運転されていました。他の7000型は、ここに写っている7015と同様、広告電車として活躍中です。


こちらは富山駅北側の、富山ライトレール(ポートラム)です。来年2月には、鉄道線富山駅の下を潜る形で地鉄軌道線と結ばれる予定ですが、電車にもそれが広告されています。こちらは、元国鉄の富山港線で、富山駅から奥田中学校前だけが併用軌道です(この区間が新設)。そこから先の岩瀬浜(終点)までは専用軌道で、中々のスピードで豪快に飛ばします。奥田中学校前付近は、亘線が長くとられていて、一見、三線並列のようにみえるのが面白いところです。ちなみに、車庫のある城川原では、駐輪場から50Nレールの#8分岐器が間近で観察できます。


富山ライトレール(ポートラム)側の工事状況です。この様にコンクリートで基礎を作り、そこにレールを填め込んでいくのが最近のトレンドの様です。これに、NC加工の分岐が組み合わされ、流れる様な併用軌道が敷設される訳ですが… 模型的には中々再現が難しい、分岐は標準型を設定するのが難しい、と感じています。

伊香保電車


ちょっと暇が作れたので、梅雨になる前の6月上旬に、伊香保温泉まで保存車の見学にいってきました。


伊香保の「峠の公園」に展示されている、東武鉄道伊香保軌道線の27号電車です。12年程前、渋川市石原の平形医院眼科に保存されている時に、友人と訪問したことがありますが、その後、名古屋市電の旧台車と組み合わされて復元されたので、改めて見学することにしました。


前回見学時にはなかった台車です。柵もなく、自由に見学できるブリル21E単台車として貴重な展示です。現役時代は平坦地を走っていた台車ですから、急勾配の伊香保電車で装備されていたレールブレーキは装備されていません。尤も、伊香保27号車の現役時代の記録には、台車は「独乙シーメンス、シエッケル会社製」*1とあるそうですので、その辺の違いがあるのかもしれません。


貴重な機会ですので、台車内部を覗いてみました。モーターは失われていますが、モーター釣り掛け用の横梁や、ブリル21E単台車の特徴といわれているX型の「ダイヤゴナルステー」*2が残されています。

*1 花上嘉成(2014), 蘇った東武鉄道 伊香保軌道線 27号電車, レイル(91).
*2 吉雄永春(1989), 台車のはなしⅥ, レイル(24).

都電のお話4


都電荒川線の動向です。


以前紹介した「インファンド軌道」は、緑化軌道となる様です。ということは、向原辺りは併用軌道にはならないということですね。


具体的には、こんな感じです。未だ工事が完成していないので、土が露出している部分が殆どですが、いずれはレール間一面、芝で被われるのでしょう。


ところで、最近流行りの「擬人化」傾向を反映して、9000と7700が「萌えキャラ」化していました。写真は9001号車の側面の丸窓部分ですが、反対側は未観察です。別キャラが描かれているんでしょうか、ちょっと興味があります。

H&K(Hanning & Kahl)の併用軌道用分岐器


Kingyoさんが書かれた、H&K(Hanning & Kahl)製併用軌道用分岐器の補遺です。


昨年3月に、富山市に日帰り出張した際に撮影した、富山地鉄の富山軌道線、富山駅前の併用軌道用分岐器です。富山地鉄は3’6″なので、4’6″の函館市電とは大分表情が異なります。


リードレールとトングレールの関節です。こんな具合に切削され、噛み合っています。左右は線対称です。この手の関節は以前、シアトルのWaterfront Streetcar(2005年廃止)でも見かけました。但し、関節部の長さはこれより長い様子でした。

 
トングレール間のスロットの奥には、こんな金具があって、トングレールと連動しています。察するに、ここにレバーを差せば、人力で転換できるのでしょう。

函館市電の分岐を観察


線路板ホイホイ作りの参考資料として、函館市電の軌道の分岐器周りを観察。舗装された併用軌道敷の分岐・ポイントにはあまりディテールを付けずに済ませてしまうが、もうちょっと何とかしたいものだな、と・・・ (2018/12/15・函館)

函館どっく前のは終点折り返しのスプリングポイントで先端レールは片側だけしかない。併用軌道では古くからよく見られるタイプだが、模型の車輪はフランジが厚いので、このタイプはオーバースケールになってしまい、中々形良く作りにくい。

この駒場車庫前のような併用軌道分岐の先端部分は見たことがなかった。上: 渡り線のスプリング式。

下:右へ折れ反対側をクロスして車庫へ入るもので、板の下に転轍機があるのだろう。このタイプの先端レール部分のほうが模型化しやすいように思える。

十字街の左・谷地頭、直進・函館どっく前への複線分岐。転轍機は左側の歩道にあるようでロッドの上にカバーが並んでいる。先端レールは左側・曲線内側にしかない。複線反対側の合流するほうにはスプリングも入っていないようだが内側だけは先端レールがある。