車両

英国型路面蒸機 (3)


上回りの塗装に移ります。


断面10×20 mmの角材に、こんな感じに仮止めして室内から塗り始めました。購入元の解説に従い、プライマーなしでアクリル塗料を筆塗りしました。解説では水性塗料が奨められていますが、今後のレタリングとオーバーコートのことも考え、油性塗料で塗装しました。

Connoisseur Models製Oゲージキットの、Etched and Cast Parts Identification Sheets中の記載によると、室内はbuff/light tanということですので、タミヤのバフ(LP-75)を塗りました。


車体です。屋根はgrey、車体はLNER coaching stock brown teak、スカート等はblack、端梁はredということですので、それぞれGMのねずみ色1号(09)、グンゼのウッドブラウン(43)、クレオスのタイヤブラック(137)、タミヤのフラットレッド(XF-7)で塗ってみました。車体色は全然見当も付かないのですが、ネット上の作例写真を眺めて、「まぁこんなとこかなぁ…」という感じで決めました。「グンゼ」とクレオスの旧名が書かれているのは、古い在庫品を使用したためです。固まる寸前でしたが、クレオスの「真溶媒液」を加えると、使用可能な状態にすることが出来ました。


室内のボイラー等はblackということですのが、影に沈むのを補償するために、やや明るいタミヤのジャーマングレイ(XF-63)を塗ってみました。

Versatile Plasticを塗装してみての感想ですが、多孔質で塗料を吸うこと夥しいものがありました。これをスプレーでやるとなると、手間は相当かかるでしょう。表面も粗面ですので、筆塗りで充分かと思いました。

Pacific Electric 100 Series Local Car (3)


塗色を検討します。基準は(どこまで信頼できるかちょっと不安ですが(理由は後述))、The Car Works製のPacific Electric “BLIMP”、#308です。


紙の小片に塗料を塗布してカラーチップを作り、それを見本車体に当てて適否を判断しました。前提として、1)絶対的基準が入手できないので、類似色で我慢すること、2)自家調色は再現性という観点から問題があるので、出来れば既存調色から選定すること、の2点を基本方針としました。

屋根上に載せた色見本は、左から「クレオスc45 セールカラー」、「クレオスc44 タン(ライトブラウン)」です。「クレオスc45 セールカラー」がまぁまぁ合致している様子ですので、これでいこうかと思います。

実車は、大東亜戦争(太平洋戦争は2つあるので…)以前はシルバー、開戦後慌てて軍艦色(USNからの支給、とのことです)で塗装、その後紆余曲折あって最終的に、ここで選んだ「タン」になったらしいです。


車体色です。左から「クレオスc81 あずき色(赤2号)」、「GM29 バーミリオンA」(要するに京急色)、「クレオスc68 モンザレッド」です。モンザレッドは明る過ぎますが、「あずき色」と「バーミリオンA」はいい線いっています。ここは、「京急はPEをモデルにした」という伝説を信じて、「バーミリオンA」とすることにしましょう。


ドアと幕板、ストライプに使用されているオレンジです。The Car Works製の“BLIMP”基準では、上側の「クレオスc59 オレンジ(燈)」と、下側の「GM17 オレンジA」(要するに近鉄特急のオレンジ)の中間辺りの印象でしたが、実際のところこの色は、ストライプの色と同じ筈ですので、使用するデカールと揃えるのが合理的です。ということで、Microscale Industries社の#87-564
と比較してみました。結論として、「クレオスc59 オレンジ(燈)」が、ちょっと華やか過ぎる印象もありますが、そこそこ合致する様です。

最後は室内色です。まぁ常識的に、天井は「白」でしょう。室内壁面は当時の動画を参照しますと(Pacific Electric-Los Angeles Streetcars Combo DVD)、薄緑色の様ですので、「GM41 ブルーC」で塗装することにします。見本とした「The Car Works製“BLIMP”」では、室内全て屋根色で塗りつぶしされていますが、「流石にこれはないかな…」という判断です(だから基準としてはどうかねぇ… ということです)。

Double Truck Birney (3)


床下機器を検討します。


購入したBowser社製3Dプリント床板には、床下機器の表現が全くされていません。Ken kidder製オリジナル床板には、写真の様な床下機器の表現がされていますが、正直に言って、感心し難い表現で、これまでに見たことのある、P.E.のDouble Truck Birneyの写真と見比べてみても、再現性がいいとはとても言えない造形です(そもそも、市街電車クラスでエアタンク2つというのはあるのでしょうか…)。そこで手持ち資料を探してみますと、Carstens Publications, INC.刊「Traction Planbook, New second edition」の31ページに、Pacific Gas & Electric Co.の類型車の図面が、床下機器側面を含めて掲載されています。見た感じ、P.E.のDouble Truck Birneyの床下とも矛盾しませんので、それを基に床下機器を作ってみることにします。


ということで、その図面から取付板の寸法を割り出し、0.3 mm厚真鍮板に罫書いてポンチを打ち、折り曲げ線内側に「カキ(OLFAのプラスチックカッター)」で筋を掘った状況です。手前二辺は糸鋸細工の前に、罫書き線までヤスリで削り込んであります。


固定用の孔を開けて周辺を糸鋸(スーパーパイクの#6/0を使いました)で切り出し、折り曲げ線で曲げた後、ボックスの外板とエアータンクを付けた状況です。この後、コンプレッサー(エコーモデル#1642)と抵抗器(同#633)を床下機器取付板側面に接着して、床下機器の再現としたいと考えています。

英国型路面蒸機 (2)


下回りを組み立てて艤装しました。


床板上面は平面を保たなければいけないので、DCCデコーダ等を含め、全てを床板より下に収めました。床板と動力フレームには最終組立前に「黒染め」を施したのですが、色々試行錯誤するうちに大分剥がれてしまいました。まぁ宇宙機で言うところの「PM (Prototype Model)」ですから、致し方ないところです。本来ならば、ここでの試行錯誤を反映した「FM (Flight Model」を作って、それを使用すべきなのですが、予算および時間的な制約がありますので、これで良しとします。


モーターからの配線は、フレーム側面の孔(折り曲げてモーターブラケットになった部分の跡)から引き出しました。コードとフレームが接触する箇所には、ヒシチューブを嵌めて摩耗防止を図っています。こちら(左側)は非絶縁側ですが、二軸車ですので、少しでも集電を良くするために集電ブラシを付けてあります。集電ブラシは動力キット付属のものではなく、長いものを新調して装着しました。


絶縁側(右側)です。集電ブラシは床板との接触面に、方眼紙小片をエポキシ系接着剤で貼り、プラ製M1.4ネジ(動力キットの付属品です)でネジ止めすることで絶縁してあります。薄紙とエポキシ系接着剤で絶縁層を形成する方法は、故Kingyoさんからご教示頂いた方法です。

DCCデコーダ(DZ123)は、後ろの懸架金具内部に押し込み、後ろ側に配線中継を兼ねたPCB基板を両面テープで固定して抜け止めとしました。この後、DCCデコーダの諸CVをセットし、黒染めした動輪輪芯を、方眼紙を挟んでエポキシ系接着剤で固定して、下回り完成と相成りました。

Double Truck Birney (2)


Pacific Electricの100型電車と同様に、動力装置を床板に組み付けてみました。するとどうも、車体が高過ぎる様な印象を受けました。


車体やら部品やらが入ったパック中を探してみますと、無動力車ならば純正部品で一輌だけ組み上げられる部品が揃っていましたので、高さチェック用に組んでみました。オリジナルでは動力台車の下面から、ボギー両車軸に掛けられたフレームが付き、台車枠を挟んだ上にモーターがネジ止めされ、ウォーム一段、一軸駆動で走行します。台車中心ピンの位置が独特ですが、果たしてこれでうまく走ったのでしょうか…


まぁそれはともあれ。Ken kidder製オリジナル床板使用車とBowser製床板使用車を並べた結果です。右側が動力台車側、左側が付随台車側。いずれも中央側がBowser製床板使用のもの、端側がKen Kidder製オリジナル床板使用のものです。結果として動力台車側で約2 mm、付随台車側で約0.5 mm高くなっていました。印象通りです。


ということで、車体高を下げる加工を施しました。動力台車は台車枕梁と床板の間にワッシャーを挟んで、付随台車は内側フレームを加工して床板を下げました。試行錯誤の結果、動力台車枕梁下面にはアルパワーHO-23B付属の0.5 mm厚ワッシャー2枚と、walthersの, 0.027″厚ワッシャー1枚を挟み、付随台車は内側フレーム上面の凸部を0.3 mm削ったところ、満足できる程度まで車高を下げることが出来ました。このため、台車動力軸がモーター軸より約2 mm上になりました。ここは床板に対してモーターを2 mm上昇させたいところですが、そうすると、モーターブラケットの位置決め用ボス(1.5 mm高)が届かなくなります。ここは1 mmの上昇(鉛板を挟みます)で妥協することにします。

Pacific Electricの100型電車同様、こちらも動力台車側集電板の配線用ラグ部を移設してあります。前の写真と比べ、台車の首振り角度を改善することが出来ました。