プロトタイプ例

【線路規格】複線間隔


先に曲線半径を調べてみましたが、今度は複線間隔です。

NMRA STANDARDSのS-6に、「Interurban Clearance and Track Centers」というのがあり、これでは、線路中心間隔は1.75インチ(≒44.5 mm)以上、となっています。East Penn Traction Clubのモジュール規格では中心間隔2インチ(EPT-5)、凡そ51 mmですから、標準ホイホイの50mm間隔ならば、大きな問題は発生しないと思われます。

ちなみに、日本国内での実例は以下の通りです。諸外国の例も注意してみているのですが、今のところ未見です。

路線名 実物間隔 縮尺換算 出典(敬称略)
荒川線 2610 mm 1/80で32.6 mm、HOで30 mm 宮松(1986)
叡電 3350 mm 1/80で41.9 mm、HOで38.5 mm 栗生ら(1997)
玉電 2743 mm(多分9’) 1/80で34.3 mm、HOで31.5 mm 高間ら(1997)
阪国 10’6” 1/80で40.0 mm、HOで36.8 mm 高間ら(2000)
鹿児島 3217.5 mm
(幅900 mm、高さ250 mmの中央分離帯を含む)
1/80で40.2 mm、HOで36.9 mm 松脇(2007)

NMRAやEPTCの規格は満たしていませんが、都電ホイホイの40mm間隔も、日本国内に限定するのであれば、問題が生じる可能性は低そうです。

出典は以下の通りです。

宮松丈夫(1986).王電・都電・荒川線.大正出版.
栗生弘太郎(ed.)(1997).叡電図面集.叡電総務部.
高間恒雄(ed.)(1997).東急電車形式集.3.レイルロード.
高間恒雄(ed.)(2000).阪神電車形式集.3.レイルロード.
松脇秋彦(2007).鹿児島市の市電軌道敷緑化計画.Consultant.285,58-61.

【線路規格】曲線半径


昔、松本謙一氏が「とれいん」に書かれた様に、鉄道模型には「小カーブ通過を何よりも優先」する考えと、「プロポーションを優先し、その限界でカーブを選ぶ」という2つの考えがあります。実際には、種々の制限から、この2つの相反する考えの中間に落ち着かざるを得ないのが現実ですが、実物が小カーブを通過している路面電車を題材にすると、この2つの相反する考えを両立させることができ、「小スペースでスケール車輌をスケール線路上で運転すること」を楽しむことができます。

今回の合運では、これまでと違い、130 mmから500 mmまで、多彩な曲線半径で運転を楽しみました。通過できる車輌、できない車輌と様々でしたが、これらの曲線がプロトタイプでどの位の曲線に相当するのか、徒然なるがままにWikipediaや蔵書で調べてみました。

プロトタイプ 曲線半径 コメント
ニューオーリンズの電車庫内 28 feet:(HOで) 98 mm ホントかな?と思えるくらいの急曲線です。
バーゼル市電 10 m:(HOで) 115 mm 昔の写真では、複々線の停留所を囲んでエンドレスがあります。実物通り、短軸距の単車なら曲りそうです。
サンフランシスコ市電 43 feet:(HOで) 150.5 mm BowserのPCCが180 mmRを通過するのは納得できます。或るサイトに、旧製品をちょっと改造して7インチ半径を通過させる、という記事がありましたので、スケール半径は無理かもしれません。
ニューオーリンズ市電 50 feet:(HOで) 175 mm Bowserの新製品は半径6インチを通過するそうです。何とかスケール半径クリア、というところでしょうか… でも、車庫内にあるという、半径98 mmはまず無理でしょうねぇ…
東京都電 18 m:(1/80で) 225 mm ムサシノの5501は通過します。6501もかなり苦しそうですが、何とか通過します。MODEMO改造の6044は楽勝、です。
玉電 18.2 m:(HOで) 209 mm、(1/80で) 227.5 mm IMON(旧乗工社)の玉電シリーズは通過するでしょう。車輪を交換(厚さを増す)すればより安心して運転できそうです。
能勢電(線形改良前) 20 m:(1/80で) 250 mm 標準曲線ホイホイで丁度スケールです。
シカゴ・L 90 feet:(HOで) 315 mm 実物では、下の江ノ電と同半径です。
江ノ電 28 m:(1/80で) 350 mm なかなかの急曲線です。

総体的にみると、模型とはいっても、かなり厳しいものがある場合があることが判りました。

では模型の規格ではどうなっているのか… は、また別の機会に書きたいと思います。

参考画像・発条転轍機


いわゆるスプリングポイントの転轍機の実例です。名鉄揖斐線黒野駅東方にあったものは、本格的なもので矢羽根付きですが、高さは国鉄などに比べるとやや低めなようです。当時同じ名鉄600Vの美濃町線では軌道線だったからでしょうか、標識付転轍機は見かけなかったような記憶があります。世田谷線下高井戸のは矢羽根無しですが、こちらも操作レバーは付いています。参考S_黒野 参考S_下高井戸

分岐のディテイルなど


年またぎ2011年最後&2012年最初の工作です。
発条転轍簡易緩衝器とでも呼ぶのか正確な所は判りませんが、スプリングポイントのバネを入れてある箱のダミーを作って付けてみました。今まではエコー#161パーツのポイントモーターを分岐の脇に付けていましたが、どうもへろへろローカル私鉄には重装備かつ近代的過ぎるので・・・ Lazy Jackのパーツにも標識付発条転轍器があるのですがいろいろ考えて、先端レール部の横に小箱があるだけのタイプにしました。高さも無いので、これならホイホイ上に固定出来ます。プロトタイプとしては名鉄美濃町線新関駅の関寄りにあったものを参考に、真鍮角材と帯板を半田付けし、0.6線を挿し込んで枕木取り付けネジなどに見せています。黒染め後一晩水に漬けたので、完成は年またぎになりました。120101Turnout-5d
参考S_新関

併せて、駅行き違い部の片渡り分岐の転換を同方向でなく逆方向になるように、モータ駆動ポイントマシンの片方のネジを交換しました。片方が渡り側のとき一方は直進側になりますが、スプリングポイントとして渡り側から通過出来ます。走らせてみると、この方がポイント操作が減って楽なのです。120101Crossover-12d