玉電203号の走行性能改善(1)

玉電200型は好みの車輛でして、学生時代(組説をみると1985とあります)に乗工社製キットを入手して組み立てかけました。しかし、キット付属車輪の厚みが2 mmしかなく、「これではまともに走らんなぁ…」ということで、途中で投げ出してしまいました。

その後入手した完成品の車輪厚は2.4 mmでしたので、何とか走りそうだったのですが、色々な事情で殆ど走行させることがありませんでした。しかし今回、乗工社玉電シリーズの復活整備を何輌かに実施しまして、「これもそろそろ何とかしてやらねば…」ということで、走行性能改善工事に着手しました。


これが走行させる際の最大の問題点です。1軸中間台車の前後に車体との接続ピンがありますが、この様に車体が左右にずれると中間車軸があらぬ方向を向いてしまいます。で、この様な状況は、動力台車が最後方に位置する推進状況では容易に発生すると考えられます。ここにおいて床板から出ている支えの幅が5 mmですから、約2 mm強のずれでこんな状況に陥るということが示されています。

これを避けるために、製品には中間台車の復元装置が付いています。前期型(キット)は線バネで左右動を抑え、後期型(完成品)では中間台車前後をコイルバネで引っ張って角度を制御しようとしていますが、いずれもカーブ通過時に2車体を真っ直ぐにしようとする力が発生する弊害があります。ちなみに実車の構造は中間車軸直上に両車体共通のピンがあり、中間台車は各車体それぞれとリンクで結ばれ、中間車軸は車体間角度の二等分線に従う様制御されています。見た感じ復元装置はありません。


そこで実物通りに中間車軸の向きを制御しようというアイデアが昔、Niftyの鉄道模型フォーラム(鉄道フォーラムの時代だったかもしれません)に投稿されました。即ち、この写真の様に両車体から腕を出して1つの関節で連結して左右のずれを抑制してしまえば、中間車軸は凡そ車体間角度の二等分線に従う様になる、というものです。ここで注意しなければならないことは、車体が折れ曲がった場合、新設した関節ピン孔の位置が直線での位置と比較して少々ずれる、ということです。これについて作図で確かめると、半径160 mmのカーブ上で車体が30°程折れ曲がった場合でも、ずれは0.25 mm程に収まる、という結果でした。つまり、関節のクリアランスを考えると、ほぼ問題にならないレベル、ということになります。発案者がここまで読んでいたかは定かではありませんが、いずれにせよ、「お見事!」と感嘆するしかありません。どなたの発案だったのかは最早忘却の彼方ですが、厚く御礼申し上げます。


で、このアイデアを如何に実装するか考えた結果、この様に連結面妻板下側にある、幅6.0 mm、高さ2.1 mm程のスロットに収めればいいのではないかと考え、早速作ってみた結果がこれです。実装手法は不明乍ら、先行実装者の方から「このアイデアは有効!」という感想も得ておりましたので、この方針で進めようと思っています。参考までに材料と作り方を書いておきますと、金具は0.5×5.0 mm真鍮帯板の3枚重ねです。動力車側は最下層を突出させ、直径1.0 mmの真鍮線を銀ロー付けで立ててピンとし、付随車側は最上層を突出させ、そこに1×2 mmの長孔を開けてあります。金具と車体妻面の交差部には1.0×0.5 mmの真鍮帯板を巻き、車体とのずれをなくしています。ピンと車体端の間にある孔は、接続ピン先端を避ける孔です。この様に低い位置、則ち両車体と中間台車の接続ピン近傍にて両車体を結べば、ローリングの自由度への制限も少なそうです。

ここまでの検討と部品製作には、寸法取りと現物合わせの両面で、途中で投げ出してしまったキットの存在に大きく助けられました。今後の工事には、キット部品も大いに活用して(既に集電ブラシは8輪集電化のために流用することが決まっています)進めようと思っています。「以て瞑すべし」といったところでしょうか…